神殺しのクロノスタシス2

…僕のスポンサーは、待ち合わせ場所で、待ち合わせ時間に、きっちりと待っていた。

素晴らしい。

時間を守れるのは、人の美徳だな。

王都セレーナの繁華街にある、ファミレスの一席。

その騒がしい場所が、僕達の密談の場所だった。

ここなら人の出入りも多く、多少物騒な話をしようと、喧騒が僕らの声を掻き消してくれる。

「…遅かったな」

「僕は遅刻してませんよ。あなたが早く来過ぎなんです」

一体、いつから待っていたんだか。

律儀な女だ。

そんなに、僕が待ちきれなかったか?

僕が…と言うか。

僕の持つ情報が、だろうけど。

「それで、首尾は?」

「まぁ待ってください。まずは何か注文しないと」

テーブルに何もないのに、神妙な顔突き合わせて喋ってたら、誰がどう見てもおかしいだろう。

カモフラージュの為にも、アイスティーの一杯くらいは、テーブルに置いていないと。

彼女が怒るのは分かるが…。

「…まぁ、そう焦らないでくださいよ。今までずっと待ってたんでしょう?注文したメニューが届くまでの時間が、待てないあなたではないでしょうに」

あなたが待ち続けていた、途方もない時間のことを思えば。

アイスティーが届くまでの時間が、何だと言うのだ。

瞬き一つにも満たないだろう。

「…分かった。好きにしろ」

「えぇ。好きにします」

僕はウェイトレスを呼び、アイスティーを二杯注文した。

15分も待たずに、注文した飲み物が運ばれてきた。

な?早かっただろう?

それなのに、彼女があまりに不機嫌そうな顔をしているので。

アイスティーを運んできたウェイトレスは、僕達がこれから、別れ話をするのではないかと勘違いしたようだ。

はぁ、僕達、付き合ってるように見えます?

あながち間違いではないが、でも、僕はこの女を好いたことなんて、一度もないぞ。

あくまでこの女は、僕のスポンサーでしかないのだから。

「もう少し、愛想のある顔してくれません?変な誤解されてるんで」

「そんなことはどうでも良い。早く話せ」

「…せっかちですね…」

随分余裕のない人生を送っているようで。

かく言う僕も、人のことは言えないのだが。

まぁ、良い。

折角、早くから来て待っていてくれたのだ。

彼女の求めるものを、与えても良いだろう。