神殺しのクロノスタシス2

この時点で、どう考えてもヤバい奴なのに。

新聞部三人組は、そんなことではへこたれない。

「好きな映画や本はありますか?」

「映画は見ないけど、本は般若心経」

「好きな歌は?」

「般若心経」

「休日の過ごし方は?」

「写経」

ジェットストリーム般若心経。

お前若いのに、渋い趣味してんな。

もっと学生らしい趣味はないのか。

いや、決して般若心経を貶すつもりはないが。

「楽器とか弾けますか?」

「大正琴なら」

渋い。

「最近よく行くところは?」

「学校」

確かに。

「やってみたいことは?」

「茶道」

やっぱり渋い。

「気になるクラスメイトはいますか?」

「全員心の友です」

良い奴だなお前は。

「今一番欲しいものは?」

「本。華道入門書」

でもやっぱり渋い。

今度プレゼントしてやるからな。

「成程。では最後の質問です!」

何だ?

「将来の夢は何ですか?」

「…夢…」

こればかりは、令月も即答を避け、少し考えた。

令月の…将来の夢…か。

下衆の勘繰りかもしれないが、それは俺達も知りたい。

「そうだな…」

令月は、しばし考えて。