さて、昼休み。
朝食のときと同様、令月は食堂が開くや否や、脱兎のごとく駆け込み。
一口30回の咀嚼で、僅か数分で完食。
こいつとレストランで食事とか、絶対出来ないな。
あまりの早業に、シルナオオカマキリが間に合わない。
「おいシルナカマキリ。もっと速く走れないのか」
「そんなこと言われても、如何せんカマキリだから速度が…」
全然捕捉出来てないぞ、令月を。
「あ、そうだ。カマキリって飛べるんだよね。ちょっと飛んでみようか」
え、お前。
ブーン、と羽ばたくシルナオオカマキリ。
おぉ、やれば出来るじゃないかと思った、瞬間。
「きゃーっ!」
廊下の曲がり角で、急速旋回しようとしたシルナオオカマキリと。
お友達とぺちゃくちゃ喋りながら、食堂に向かおうとしていた女子生徒(一年生)が、正面衝突。
シルナオオカマキリは、痛覚がないから良いとして。
ただ食堂に行こうとしていただけなのに、時期外れの巨大なカマキリ(しかも飛んでた)と接触してしまった女子生徒は、
あまりに突然の事態に、叫び声をあげ。
しかも、自分が衝突したのがオオカマキリだと理解した途端。
ぶわっ、と涙が溢れ。
「うっ…ふぇぇぇぇん!」
廊下にぺたりとへたり込んだまま、大声をあげて泣き出してしまった。
これは仕方ない。
いきなりカマキリと衝突したら、そりゃそうなる。
これが屋外ならまだしも、校舎内でさ。
時期外れのカマキリと、顔面正面衝突したら。
そりゃ誰だってパニックになるし、しかも相手はまだ少女。
多分、色々と脳内キャパオーバーして、泣き出してしまったのだろう。
「えっ、えっ、そんな。だ、大丈夫だよマーガレットちゃん。私、私シルナだから。カマキリだけど。カマキリだけどシルナだから、大丈夫!」
あの子、マーガレットちゃんっていうのか。
トラウマにならなければ良いのだが。
「大丈夫!?しっかりして」
「しっ、しっ、あっち行け!」
マーガレットの友達二人が、泣き出してしまった友人を守ろうと、勇敢にもシルナオオカマキリに立ち向かう。
良い子達だなぁ。
それに比べて、シルナ(カマキリ)は。
「大丈夫!泣かなくて大丈夫だから!私シルナだから!」
必死にアピールするが、如何せんカマキリなので、鎌を掲げて威嚇してるようにしか見えない。
マーガレット視点からすれば、「なんだやんのかコラ」と言われてるようなもんだ。
あぁ、可哀想で仕方ない。
当然、余計に怯えたマーガレットは、友達にしがみつくようにして啜り泣く。
一人は必死にマーガレットの背中をさすり。
もう一人の友人は、果敢にもハンカチを取り出して、シルナオオカマキリをしっ、しっ、と追い払おうとしていた。
自分だって怖いだろうに。可哀想に。
廊下に響く少女の泣き声に、他の学年の生徒達も、なんだ何事だ、とざわめき始めた。
やべぇ。
「何だこいつ…カマキリじゃねぇか」
「何でこんな季節に?」
「君、大丈夫だよ。すぐ追い払うから」
居合わせた上級生の男子生徒数名が、シルナオオカマキリを取り囲む。
偉い。下級生を守ろうとするその姿勢、大変偉い。
すると、そこに。
「一体何事ですかね?これは」
「あっ…ナジュ先生」
教師仲間、ナジュ・アンブローシアが通りかかった。
朝食のときと同様、令月は食堂が開くや否や、脱兎のごとく駆け込み。
一口30回の咀嚼で、僅か数分で完食。
こいつとレストランで食事とか、絶対出来ないな。
あまりの早業に、シルナオオカマキリが間に合わない。
「おいシルナカマキリ。もっと速く走れないのか」
「そんなこと言われても、如何せんカマキリだから速度が…」
全然捕捉出来てないぞ、令月を。
「あ、そうだ。カマキリって飛べるんだよね。ちょっと飛んでみようか」
え、お前。
ブーン、と羽ばたくシルナオオカマキリ。
おぉ、やれば出来るじゃないかと思った、瞬間。
「きゃーっ!」
廊下の曲がり角で、急速旋回しようとしたシルナオオカマキリと。
お友達とぺちゃくちゃ喋りながら、食堂に向かおうとしていた女子生徒(一年生)が、正面衝突。
シルナオオカマキリは、痛覚がないから良いとして。
ただ食堂に行こうとしていただけなのに、時期外れの巨大なカマキリ(しかも飛んでた)と接触してしまった女子生徒は、
あまりに突然の事態に、叫び声をあげ。
しかも、自分が衝突したのがオオカマキリだと理解した途端。
ぶわっ、と涙が溢れ。
「うっ…ふぇぇぇぇん!」
廊下にぺたりとへたり込んだまま、大声をあげて泣き出してしまった。
これは仕方ない。
いきなりカマキリと衝突したら、そりゃそうなる。
これが屋外ならまだしも、校舎内でさ。
時期外れのカマキリと、顔面正面衝突したら。
そりゃ誰だってパニックになるし、しかも相手はまだ少女。
多分、色々と脳内キャパオーバーして、泣き出してしまったのだろう。
「えっ、えっ、そんな。だ、大丈夫だよマーガレットちゃん。私、私シルナだから。カマキリだけど。カマキリだけどシルナだから、大丈夫!」
あの子、マーガレットちゃんっていうのか。
トラウマにならなければ良いのだが。
「大丈夫!?しっかりして」
「しっ、しっ、あっち行け!」
マーガレットの友達二人が、泣き出してしまった友人を守ろうと、勇敢にもシルナオオカマキリに立ち向かう。
良い子達だなぁ。
それに比べて、シルナ(カマキリ)は。
「大丈夫!泣かなくて大丈夫だから!私シルナだから!」
必死にアピールするが、如何せんカマキリなので、鎌を掲げて威嚇してるようにしか見えない。
マーガレット視点からすれば、「なんだやんのかコラ」と言われてるようなもんだ。
あぁ、可哀想で仕方ない。
当然、余計に怯えたマーガレットは、友達にしがみつくようにして啜り泣く。
一人は必死にマーガレットの背中をさすり。
もう一人の友人は、果敢にもハンカチを取り出して、シルナオオカマキリをしっ、しっ、と追い払おうとしていた。
自分だって怖いだろうに。可哀想に。
廊下に響く少女の泣き声に、他の学年の生徒達も、なんだ何事だ、とざわめき始めた。
やべぇ。
「何だこいつ…カマキリじゃねぇか」
「何でこんな季節に?」
「君、大丈夫だよ。すぐ追い払うから」
居合わせた上級生の男子生徒数名が、シルナオオカマキリを取り囲む。
偉い。下級生を守ろうとするその姿勢、大変偉い。
すると、そこに。
「一体何事ですかね?これは」
「あっ…ナジュ先生」
教師仲間、ナジュ・アンブローシアが通りかかった。


