…なんて。
思ってた時期が、俺にもありました。
「聞こえてくるんだよ…。井戸の底からね…。『いちま~い、にま~い、さんま~い…』ってね」
「…」
「『はちま~い、きゅうま~い…』そこで声が止まる。恐れを為した屋敷の主人が、そお…っと井戸に近づくとね…」
「…」
「くら~い井戸の底から、中指のない朽ちた手が、ぬ~っと出てきて…」
「…」
…ごくり。
「…『わ゙だじの゙ゆ゙びを゙がえ゙ぜぇ゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙!!!』」
「きゃぁぁぁ!」
「ひぃぃっ!」
「いやぁぁっ!」
「ぴきゃぁぁぁぁぁぁっ!!」
最後の悲鳴、シルナな。
シルナが一番びびってる。
カマキリの分際で。
しかし、さすがの俺もゾーっと来たぞ。
たかが子供の怪談話と思ってたら。
一生モノのトラウマ植え付けられるところだった。
「…以上、『八百万都市伝説』の一つ…。『坂町皿屋敷』のお話でした」
「…」
ぶるぶるぶる。
「…続き、言っとく?」
ぶんぶんぶん、と首を横に振る生徒達。
もう、教室中の皆が聞いてるから、皆冷や汗かいてる。
聞いてない振りしてた生徒とか、もう関係ない。
取り繕うのも忘れて、皆でびびりまくってる。
しかも。
「さぁ!二時間目を始めますよ」
そこに、絶妙なタイミングでイレースが入ってきたもんだから。
「うわぁぁぁぁ!」
「指が!指取られる!」
「許してくださいぃぃ!!」
大パニックの二年Aクラス。
「ぴょえぁぁぁぁぁぁっ!!!」
今のはシルナな。
「…?何ですあなた達。指なんて取りませんよ。馬鹿なことを言ってないで、早く授業の準備をしなさい」
ガクブルで席に着き、震える手でテキストを取り出す生徒達。
間違えて、別の科目のテキストを出してる子もいた。
動揺し過ぎだ。
そんな中、一人、してやったりみたいな顔でにんまりしている令月であった。
…お前さぁ、マジで。
このまま行けばクラスの大スターだが、一歩間違えたら友達なくすタイプだな。
その点、ナジュと気が合いそうだなぁと思った。
それから。
「シルナ。おいシルナ」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい、指返す、指返すから呪わないでくださいお願いしますお願いします」
生徒より、誰よりもびびってんじゃねぇよ。
カマキリの分際で。
思ってた時期が、俺にもありました。
「聞こえてくるんだよ…。井戸の底からね…。『いちま~い、にま~い、さんま~い…』ってね」
「…」
「『はちま~い、きゅうま~い…』そこで声が止まる。恐れを為した屋敷の主人が、そお…っと井戸に近づくとね…」
「…」
「くら~い井戸の底から、中指のない朽ちた手が、ぬ~っと出てきて…」
「…」
…ごくり。
「…『わ゙だじの゙ゆ゙びを゙がえ゙ぜぇ゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙!!!』」
「きゃぁぁぁ!」
「ひぃぃっ!」
「いやぁぁっ!」
「ぴきゃぁぁぁぁぁぁっ!!」
最後の悲鳴、シルナな。
シルナが一番びびってる。
カマキリの分際で。
しかし、さすがの俺もゾーっと来たぞ。
たかが子供の怪談話と思ってたら。
一生モノのトラウマ植え付けられるところだった。
「…以上、『八百万都市伝説』の一つ…。『坂町皿屋敷』のお話でした」
「…」
ぶるぶるぶる。
「…続き、言っとく?」
ぶんぶんぶん、と首を横に振る生徒達。
もう、教室中の皆が聞いてるから、皆冷や汗かいてる。
聞いてない振りしてた生徒とか、もう関係ない。
取り繕うのも忘れて、皆でびびりまくってる。
しかも。
「さぁ!二時間目を始めますよ」
そこに、絶妙なタイミングでイレースが入ってきたもんだから。
「うわぁぁぁぁ!」
「指が!指取られる!」
「許してくださいぃぃ!!」
大パニックの二年Aクラス。
「ぴょえぁぁぁぁぁぁっ!!!」
今のはシルナな。
「…?何ですあなた達。指なんて取りませんよ。馬鹿なことを言ってないで、早く授業の準備をしなさい」
ガクブルで席に着き、震える手でテキストを取り出す生徒達。
間違えて、別の科目のテキストを出してる子もいた。
動揺し過ぎだ。
そんな中、一人、してやったりみたいな顔でにんまりしている令月であった。
…お前さぁ、マジで。
このまま行けばクラスの大スターだが、一歩間違えたら友達なくすタイプだな。
その点、ナジュと気が合いそうだなぁと思った。
それから。
「シルナ。おいシルナ」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい、指返す、指返すから呪わないでくださいお願いしますお願いします」
生徒より、誰よりもびびってんじゃねぇよ。
カマキリの分際で。


