神殺しのクロノスタシス2

ノートの取り方は、まぁ、人それぞれ個性があって良い。

とりあえずそこは置いておこう。

俺達が注目したいのは、授業中ではない。

授業外の時間、令月がどのように過ごしているかだ。

一時間目の授業が終わると、令月はまず真っ先に、汚れた筆を洗いに行った。

はい。それはそれで結構。

戻ってきて、筆巻きに筆を収める。

はい。それも結構。

で、そこから何をするのだろう?

はらはらしながら見つめる。

すると。

「なぁ令月、昨日の話の続き教えてくれよー」

…昨日の話の続き?

何だそれは。

お前ら、何の話をしてるんだ?

「あっ、俺も気になる」

「私も」

わらわら、と生徒が集まってくる。

おい、何だよ。

カマキリの分際だが、話に入っても良いだろうか。

「皆命知らずだね…。良いよ、教えてあげるよ…。…ジャマ王国に伝わる、世にも恐ろしい『八百万都市伝説』を…」

…ん?

何だそれは。

興味のない素振りをしていた生徒も、

「私関係ないです」みたいな顔をして、わざとらしく窓の外を眺めていた生徒も、

次の授業の予習をしている振りをしていた生徒も、

そして、そんな令月の話を盗み聞きしているシルナも。

皆、ごくりと生唾を飲み込んでいた。

「何だよシルナ。『八百万都市伝説』って」

お前知ってるのか?

「や、『八百万都市伝説』っていうのはね、じ、ジャマ王国に古くから伝わる、その名の通り八百万もある、と、都市伝説で」

声上ずってるけど、大丈夫か?

「じ、ジャマ王国はむ、昔から、ざん、ざん、残酷な事件が多かったから、そ、それが都市伝説として、現代まで伝わって…」

オオカマキリの分際で、都市伝説に怯えている。

何だ?ジャマ王国の都市伝説って。

要するに、怪談話か?

イーニシュフェルトの生徒と言えど、まぁまだ子供だからな。

怖い話と聞けば、興味も湧くのかもしれない。

俺は幽霊とかそういうの、信じないタイプだから。

なんだ、意外に令月も、休み時間にはクラスメイトと年相応のお喋りを楽しんでるんだな。