神殺しのクロノスタシス2

イーニシュフェルト魔導学院学生寮の起床時間は、午前六時半。

現在時刻は、午前六時半、ちょっと前。

なのだが。

のそのそとシルナオオカマキリが、令月の部屋に侵入した頃には。

令月は、既に起床していた。

起きるの早いなあいつ。

何時から起きてたんだろう。

ルームメイトは、まだ眠っている。

まぁ、早く目が覚めちゃうことってあるよな。

それは良いのだが。

イーニシュフェルト魔導学院学生寮の部屋には、備え付けの家具として、勉強机、ベッド、本棚が生徒一人に一つずつ、与えられている。

あとはまぁ、好きなようにインテリアは決めてくれて良い。

ルームメイトと相談して、余程部屋を改造するのでなければ(壁に穴を開けたりとか)、基本的には自由だ。

だから、女子寮では(俺は勿論入ったことないけど)、お気に入りのぬいぐるみや、小さなドレッサーを持ってきている子もいるそうだ。

ラミッドフルス魔導学院の学生寮では、学院が指定したもの以外の持ち込みは、固く禁じられていたらしく。

その点イレースは、顔をしかめていたが。

まぁ、多目に見ているようだ。

だから、男子寮では、好きなスポーツ選手のポスターとか、プラモデルを飾ってる生徒もいる。

ジグソーパズル飾ってる生徒もいたっけな。

しかし。

令月は、インテリアを完全に無視していた。

令月が寝ていたのはベッドではなく、床に敷いたゴザだった。

分かる。分かるよ。畳で寝たい派、いるよな。

ベッドが生理的に受け付けない人って、いるよな。

そりゃ別に良いけどさ。

ゴザって。

ルームメイトもまさか、編入生がゴザで寝るとは思わなかっただろうな。

お陰で、令月の分のベッドは、空のままだ。

むしろ荷物置き場みたいになってる。

ベッドも涙流してるだろうな。何故自分がゴザに負けたのかと。

それは良いとして。

もう一つ、突っ込みどころがある。