神殺しのクロノスタシス2

…かと、思いきや。


「…どう?」

「…凄い…全問満点…」

シルナ、驚愕。

令月がイーニシュフェルト魔導学院に再編入してから、およそ10日。

主に放課後の時間と、休日を使って、文字の書き方を一通り教え。

一年生で習う魔導理論の基礎を、ざっくりと説明し。

とりあえず、ここまで習ったところテストしてみよっかー、と特別に試験問題を作り。

やらせてみたところ。

全問正解という、偉業を達成していた。

呑み込みが早いにもほどがある。

ちょっと、難易度高めの試験にしてたんだけどな…。

最悪、10点くらいしか取れないかも、とは覚悟していた。

それがなんと、一桁多いぞ。

大丈夫か。カンニングとかじゃないよな?

「れ、令月君。普段の授業は大丈夫?分かる?」

「日中の授業のこと?」

「うん」

日中の授業は、通常二年生三学期に習う範囲。

まだ一年生の魔導理論までしか教えていない令月にとっては、一年先の授業を受けさせられている状態。

だから、さっぱり分からないのは当然なのだが…。

「全部分かる訳じゃないけど、言いたいことは何となく分かるよ」

「そうなの!?」

「うん」

マジかよ。

イレース主催の放課後補習、もう受けなくても良いんじゃね?

大丈夫だろ。春休みで全部会得しそうな勢い。

何なら飛び級も夢じゃない。

ないけど。飛び級制度。

「そ、そうなんだ…。じゃあ、今日から二年生の範囲も教えようかな…」

本当は、試験問題で不正解だったところを重点的に、復習するつもりだったのにな。

復習どころか、先に進めそうだぞ。

「ここの先生は、教え方が優しいから」

令月が、ポツリと呟いた。

…そうか。

令月基準なら、鬼教官イレースの授業でさえ、シルナ並みに優しく感じるのだろうな。

「よしよし、お前はよくやってるよ」

「…うん」

その調子で頑張れ。な?