神殺しのクロノスタシス2

…そんな、ことより。

「こ、こんなところで…何やってるの…?」

「あら、あなたが令月さんですか?」

今気づいたんですか?僕の存在に。

「初めましてですね。私は、シュニィ・ルシェリート。見ての通り、二児の母です」

「あ、うん…」

「それから、そこで大剣を振り回してるのが、私の夫で、この子達の父親です」

「…」

っていう、会話の間にも。

ぴゅんぴゅん飛んでくる魔導砲を、全部真っ二つにしてるからな、あなたの夫。

それを歓声あげて見てるからな、あなたの娘。

大丈夫?お宅。

「ここで…何を、やってるの?」

「あ、申し遅れました。私、実は聖魔騎士団魔導部隊の大隊長をやっていまして」

はぁ。

「そこの夫が聖魔騎士団団長なんですけど」

そうなんですか。

「今はこの子が生まれたばかりなので、育児休暇をもらっているのですが…学院長先生から、今回の作戦指揮を取ってくれないかと、頼まれまして」

「…」

「見ての通り、作戦指揮を取っています」

…そんな。

店番頼まれたので、みたいなノリで。

まぁ良い。

アルデン人の二児の母が、作戦指揮を取ってるのはまぁ良い。

で、

「何でそれを屋上でやってるの?」

「一番よく戦場が見える位置ですから」

僕はもしかして、この人達とは違う星のもとに生まれたのだろうか。

もう、そうとしか思えなくなってきた。

「格好の的になってますけど」

「えぇ。でも、見ての通りなので」

シュニィと名乗った女性は、大剣振り回す夫を指差した。

屋上目掛けて飛んでくる攻撃の全てを、あの男が一人で切り裂いている。

で、それを見て喜ぶ娘。

に、おだてられて更にパワーアップする男。

の、妻は優雅に子守りをしながら、ついで感覚で作戦指揮。

…ある意味、ここが一番安全なんじゃないかと思った。