神殺しのクロノスタシス2

僕は、咄嗟に細い覗き窓に釘付けになった。

来た。

黒子のような服を着た、何人かの構成員達。

間違いない。『アメノミコト』の刺客だ。

でも、あれは本命じゃない。

校門を破壊し、わざと派手な音を立てて撹乱し。

手勢をそちらに向かわせ、本命は闇夜に紛れるようにして、こちらに向かってくるはず…。

それがいつもの、『アメノミコト』の手口だ。

学院長達は、気づいているだろうか?

一番危ないのは、間違いなく学生寮だ。

イーニシュフェルト魔導学院の生徒は確かに優秀だが、所詮はまだ子供なのだ。

人質としては、格好の獲物。

一人でも囚われたら、こちらは手出し出来なくなる。

あぁ糞、この覗き窓からじゃ、学生寮は死角になってて見えない。

もどかしい。

すると、そこに追い討ちをかけるように。

「っ…」

空爆でもされたかと錯覚するような、振動。

一瞬、学院長室が狙われたのかと思った。

でも、狙われたのはもっと上だ。

学院長室の上と言ったら…屋上しかないはずだが。

な、何で屋上に?

建物全体を抑えるつもりなのか?

まさか。『アメノミコト』の制圧力は僕もよく知っているが、でも、ここは小さなホテルや民家じゃないんだぞ。

学生寮、学院校舎、稽古場など含めれば、それなりの規模の建物なのだ。

それでも、建物全体、敷地一帯を抑えるつもりなのか?

そんな物量をぶつけてきたと言うのか?

もしそうなのだとしたら、頭領は本気だ。

本気で、僕の首を獲りに来てる。

なら駄目だ。僕が出なきゃ。投降しなきゃ。

せめて、一人でも犠牲を少なくする為に。

でも、学院長はここから出るなと言った。

あぁ、分からない。もどかしい。

「~っ、あぁ、もうっ…くそっ」

最早、我慢の限界だった。

元々僕は、そんなに気が長い方じゃないのだ。

自分を巡って戦いが繰り広げられているのに、当人である僕が隠れて眺めているんじゃ、話にならない。

僕は二本の刀を手に、学院長室の隠し部屋を抜け出した。