しかし。

彼女達のパパラッチ魂は、こんなことでは挫けない。

「ずばり、好きなタイプとかは…?」

「えっ…。えっ…。す…素直な子…かな?」

「恋人に求める条件は?」

「じょ、条件?」

「家庭的な人が良いとか、美人が良いとか」

「や、優しい人なら誰でも良いです…」

その顔面じゃあ、相手に美人を求めるのは傲慢ってものだからな。

美人が良い?お前、まず自分の鏡を見てから言え。って言われるもんな。

「羽久が私に失礼なこと考えてる気がする…」

「気のせいだ」

被害妄想って奴だよ。

「タイプの髪型は?」

「か、髪?」

「ロングヘアが良いとか、ミディアムが良いとか」

「何でも良いよ、髪型なんて…」

何なら生えてなくても気にしないだろうな。

「じゃあ結婚願望は?ないんですか?」

「けっ…。仕事忙しいからなー…。結婚してる余裕が…」

出ました。結婚出来ない人の言い訳。

ちげーだろ。相手になってくれる人がいないだけだろ。

まぁ年齢の問題もあるか。

「子供は?子供欲しいですか?」

「こ…子供ならいるよ。イーニシュフェルトの生徒達は、皆私の子供だよ」

ちょっと良いこと言って、誤魔化した気になってるな。

「じゃあじゃあ、学院長先生に奥さんがいたとしたらー」

「姉御肌の奥さんと、甘えん坊の奥さんだったらー」

「彼女がいたとして、プレゼント渡すとしたらー」

「あわわ…。あわわわわ…」

皆さん。ご覧ください。

生徒の質問攻めによって、パニックになる学院長です。

最終的には。

「そ、そんなこと言われたって…分かんないよ~!」

破廉恥な質問の数々に耐えかねたらしいシルナ。

がばっと立ち上がって、学院長室から逃亡した。

あーあ。逃げた。

「あっ!逃げた!」

「逃がしませんよ!」

「今すぐ追いかけます!」

彼女達のパパラッチ魂、恐るべし。

逃走したシルナを追って、三人も慌ただしく学院長室を出ていった。

…やれやれ。

やっと静かになったよ。