神殺しのクロノスタシス2

事前に聞いてた俺達でさえ、「マジかよ!」って思うのに。

生徒達も、「マジかよ!」って思ってるだろうなぁ。

「『マジかよ!』どころか、『あの女、正気か?』って思ってる生徒いますよ」

と、何気に入賞を狙っているナジュ・アンブローシア。

正気なんだよ。

むしろ今までが優しかっただけで、これが本性なんだよ。

段々我慢出来なくなってきたんだろうな。

すると、そこに。

見慣れた生徒を見つけた。

「よ、令月」

「あ…羽久さんだ」

「お前も災難だな。入学早々マラソン大会なんて」

「大丈夫。雨の日に河川敷の下で寝てたら、気づいたときには半分水に浸かってたことあるから」

ごめん、お前俺の想像の上を行ってたわ。

元ホームレスなんだっけ…。気の毒な。

屋根なし徒歩で、エクトルから王都セレーナまで来たのだ。

そりゃ、肝も据わるだろう。

…で。

こっちのシルナは、何をやってるんだ?

「お願いです慈悲をください慈悲を」

「あげません」

「はい!老体に鞭打って走らせるのは良くないと思います!」

「本物の老体なら、一日にお餅を三つも四つも食べたりしません。元気いっぱいです」

「そこをなんとか!お願いしますから!あっ、お菓子。お菓子あげるからお願いしま、」

「では、そろそろ始めましょうか」

「あぁぁぁぁぁ」

シルナの、最後の抵抗は。

虚しく、塵と消えた。

相手が悪かったな、シルナ。

イレース相手に、そういうの通用しないから。

勿論、本当に具合が悪い人は別だよ?

体調が悪い生徒は待機だ。

イレースだって、本当に体調が悪い生徒にまで走らせたりはしない。

でも、シルナは別。

こいつはただの仮病だから。

元気に走れ。

「ひ、酷い…。私は、前世でどんな悪いことをしたんだ…」

そんなに落ち込むことか?

「さっさと走って、さっさと終わらせば良いじゃん」

「君達若者と違って、私は繊細なの!ガラスで出来た温かいハートが、」

「あ、ホイッスル鳴った」

「じゃあ行くか」

「ハートがぁぁぁぁ!」

今日中に帰ってこれれば良いな、シルナ。