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第三部3章 (33/39)
…イレース。
お前は、何て言うか…本当に。
容赦がないよな。
「僕は心を読んでたので分かってましたけどね」
じゃあ先に言っとけよ。
「生徒だけ走らせて、教師が走らないなんて不公平ですからね。ここは教師が率先して共に走り、心身の鍛練をするべきです」
イレース、お前は偉い。
ラミッドフルスでも、同じようなことしてたんだろうなぁ。
未だにラミッドフルス基準が抜けない、イレースだからこその発想だ。
「そんな訳で、明日生徒が帰ってきたら、明後日にはマラソン大会ですよ。教師も生徒も10キロマラソン」
「はい、イレース先生質問です」
と、挙手するナジュ。
「何です」
「優勝したら賞状とか、景品とか、あります?」
あぁ、それあった方が生徒のモチベーション上がるよな。
まぁ、帰ってきて早々、抜き打ちテストならぬ抜き打ちマラソン大会を強制されて。
モチベーションも癖もないだろうけど。
「優勝者には、初代イーニシュフェルト魔導学院マラソン大会のトロフィーと賞状の授与を行います」
「ほほう」
「全校生徒で行うので、準優勝以下、10位までを入賞として賞状を用意します」
「それって、教師にも入賞権はあるんですか?」
「当然です」
「だって。頑張りましょうか羽久さん」
お前、走るの嫌じゃないのか。
俺なんて、10キロ走ると思ったらげんなりして。
入賞とか賞状とか、もうどうでも良いんだけど。
「ナジュは何でそんなに乗り気なんだよ」
「いや、教師陣で入賞したら、生徒からの株が上がるかなぁって」
お前は、既にその顔で株上昇する一方だから。
いちいち入賞する必要はないと思うぞ。
「そ、そんな…。10キロなんて…。10キロなんて…」
絶望しているシルナである。
「分身…。そうだ、分身に走ってもら、」
「勿論、本体のあなたが走るに決まってるでしょう」
「ひょぇぇぇぇ!」
ひょぇってお前。
そりゃそうなるだろ。
「大体あなたは正月の間、お汁粉を飲み、きなこ餅とみたらし団子を食べ、たらふく飲み食いしたでしょう」
「えっ、そっ、それは」
否定は出来んぞ。
俺達、お前がいかに自堕落な生活をしていたか、ちゃんと見てたから。
絶対正月太りしてる、こいつ。
「これを機に、身体を動かすのも良いでしょう。そういう訳なので、準備の方は私がさせて頂きます」
言いたいだけ言って、さっさと退室するイレース。
そこに慈悲はない。
「…おい、大丈夫かシルナ」
「…風邪…風邪気味だから、私…」
小学生みたいな言い訳を用意するな。
大体こっちにはナジュがいるんだから、嘘をついても無駄だぞ。
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