神殺しのクロノスタシス2

令月の素晴らしい度胸は、ひとまず横に置いておくとして。

問題は、令月の両親だ。

他人事ながら、大変胸糞悪くなる話だ。

「…」

シルナも、無言だが、不機嫌そうな表情だった。

それもそのはずだ。

我が子を、魔導適性がないからといって、家から追い出すなんて。

それどころか、家族として認めないなんて、とんでもない。

魔導適性の有無は、遺伝によるものが大きいと一般的には言われているが。

遺伝だけが全てではない。

ただ、「両親が魔導師なら、その子も魔導適性がある」傾向が強いというだけで。

両親が魔導師だからといって、必ずしも子供に魔導適性が遺伝するとは限らない。

逆もまたしかり、だ。

両親は全く魔導適性がないのに、何故か子供に魔導適性があった、なんてこともよくある。

何度も言うように、遺伝だけが全てではないのだ。

だから令月みたいに、魔導師一家に生まれたけど、魔導適性には恵まれなかった、なんてケースは、何処にでもある。

イーニシュフェルトに来ている生徒達からも、ちらほら話を聞く。

「私の家系、全く魔導適性がなかったのに、何故か私だけ魔導適性があるんです」とか。

「うちの家族は、姉だけ魔導適性がなくて、別の道に進んだんです」とか。

魔導適性と遺伝との関係は、未だに解明されていない未知があるのだ。

それなのに。

「…辛い思いをしたんだね」

シルナが、令月の背中をさすってあげていた。

そう。令月がここに来るまでに、どれだけ片身の狭い、辛い思いをしてきたか。

考えるだけで、令月の家族をぶん殴りたくなってくる。

今目の前にいたら、絶対殴ってる。

魔導適性がないなら、家を出ていけだと?

魔導適性がないから、家族の一員として認めないだと?

ふざけるな。

下らない小細工をしてまで、魔導学院に何とか入ろうとした令月の心中を思うと、言葉が出ない。