神殺しのクロノスタシス2

「うちの家って、代々魔導師を輩出する、魔導師一族で」

「…」

「両親祖父母は勿論、兄も姉も、弟も妹も、幼い頃から魔導適性があって」

「…」

「それなのに、な~ぜか僕だけが、魔導適性がなくて」

「…」

「父は母に烈火のごとく怒って、『よそで作ってきた子供なんだろう』って」

「…」

「母は母で、毎日父に責められては、『お前のせいで、私が不倫したと疑われてる。お前なんか生まれてこなきゃ良かったんだ。この出来損ないが!』って僕に言ってきて」

「…」

「…大丈夫?」

大丈夫?じゃないよ。

大丈夫じゃないよ。

そんな、きょとんとした顔で言うことじゃないだろ。

「続き話して良い?」

「…どうぞ…」

この時点でかなり胸糞悪いけど。

続きがあるなら、聞かなければ。

「家庭内では、完全に僕だけ孤立して。兄も姉も弟も妹も僕を馬鹿にして、『お前はよそ者だ』とか、『この家の人間じゃない』とか言われ続けて」

「…」

「中学校に入学するとき、父に、『魔導学院に入れ。入らないなら家を出ていけ。どちらにするか選べ』と言われ」

「…」

「13歳でホームレスは嫌だったんで、仕方なく、誤魔化して魔導学院に入ったんだけど」

「…」

「意外にあっさりとバレてしまって、結局追い出されたんだよね」

「…」

「スピーカーの調子がなぁ…。やっぱり中古じゃなくて、新品買うべきだったかなぁ…」

…いや、スピーカーの問題じゃないから。

むしろ、何故行けると思ったのか。

そんな誤魔化し、長く続くはずがないだろ。

「そんなこんなで、身一つで家から蹴り出されて」

「…」

「親戚からもハブられて、行く宛がないので、とりあえず、王都に行けば何とかなるかなと」

何故何とかなると思ったのか。

「実際今、何とかなってるし。おにぎり美味しかった」

「…それは何より…」

お前、あれだな。

無人島に流れ着いたら、泣いて助けを求めるより先に。

木を切り出して、小屋を造ろうとするタイプだな。

何処までも逞しい。

しかし、馬鹿である。

更に言えば、こいつの両親はもっと馬鹿である。