…さて。
二十音が出てきてしまって、少し計画は狂ったが。
ヴァルシーナに、もう打つ手がないのは明白だ。
「…もう、終わりで良いよね?」
「…」
ヴァルシーナは、ぐったりと蹲り、杖を握る力さえ残っていないようだったが。
かろうじて、まだ意識はある。
聞こえているはずだ。
「イーニシュフェルトの里は滅んだ。そして唯一の希望であった私は、この子を選んだ」
故郷を裏切り、邪神を宿す二十音を愛することを選んだ。
それが正解の道でなくても。
「…ろ、せ…」
ヴァルシーナが、何かを囁いた。
血を吐きながら、まだ喋る余裕があるとは。
「何かな?」
「殺せ…私を…」
…あぁ、そういうこと。
「地獄の…底で…貴様が堕ちてくるのを…永遠に、待ち続けてやる…」
それがせめてもの、君の抵抗だと言うんだね。
「…悪いけど、その願いは聞けないな」
だって。
死んだところで、君は正しい行いをしたのだから、天国に行くよ。
そして私が死んだとき、行くのは地獄だ。
会うことはないだろう。
それに。
「私は何も、故郷が憎かった訳じゃない」
むしろ、故郷を愛していたのだ。
ただ、その愛が二十音に対する愛と比べて、ずっと無価値だっただけで。
故郷の、しかも族長の孫娘を、この手にかけるような真似はしない。
しかし。
「…何処までも、我らの誇りを汚す者め」
ヴァルシーナは、最後の力を振り絞るようにして、私の背中に恨み言をぶつけてきた。
「貴様の罪は、いずれ必ず裁かれる。必ず…!」
…そうかもしれないね。
でも、それは今じゃない。裁きを下すのは君じゃない。
だから、それまでは…。
二十音が出てきてしまって、少し計画は狂ったが。
ヴァルシーナに、もう打つ手がないのは明白だ。
「…もう、終わりで良いよね?」
「…」
ヴァルシーナは、ぐったりと蹲り、杖を握る力さえ残っていないようだったが。
かろうじて、まだ意識はある。
聞こえているはずだ。
「イーニシュフェルトの里は滅んだ。そして唯一の希望であった私は、この子を選んだ」
故郷を裏切り、邪神を宿す二十音を愛することを選んだ。
それが正解の道でなくても。
「…ろ、せ…」
ヴァルシーナが、何かを囁いた。
血を吐きながら、まだ喋る余裕があるとは。
「何かな?」
「殺せ…私を…」
…あぁ、そういうこと。
「地獄の…底で…貴様が堕ちてくるのを…永遠に、待ち続けてやる…」
それがせめてもの、君の抵抗だと言うんだね。
「…悪いけど、その願いは聞けないな」
だって。
死んだところで、君は正しい行いをしたのだから、天国に行くよ。
そして私が死んだとき、行くのは地獄だ。
会うことはないだろう。
それに。
「私は何も、故郷が憎かった訳じゃない」
むしろ、故郷を愛していたのだ。
ただ、その愛が二十音に対する愛と比べて、ずっと無価値だっただけで。
故郷の、しかも族長の孫娘を、この手にかけるような真似はしない。
しかし。
「…何処までも、我らの誇りを汚す者め」
ヴァルシーナは、最後の力を振り絞るようにして、私の背中に恨み言をぶつけてきた。
「貴様の罪は、いずれ必ず裁かれる。必ず…!」
…そうかもしれないね。
でも、それは今じゃない。裁きを下すのは君じゃない。
だから、それまでは…。


