神殺しのクロノスタシス2

「…ちっ」

避けやがった。この女。

割と不意打ちのつもりだったんだけどな。

もしくは、僕がそうすることを見越していたのかもしれない。

だって。

「…この愚か者め」

「え?」

ヴァルシーナは、お返しとばかりに。

巨大な魔力の刃で、僕の胴体を綺麗に、一刀両断した。

ぶつ切り。

ナジュ・アンブローシアのぶつ切り。グラムいくらだろう。

あ、誰も要らないか。

「いたたた…」

僕は、這いずりながら、真っ二つにされた下半身と上半身をくっつけた。

酷いことをすると思わないか?

いくら僕が不死身だからって。

そんなスライサーみたいなノリで、ぶつ切りにするなんて。

「不死身じゃなかったら死んでましたよ、僕」

はい、下半身再生完了。

これで死ねてたら、楽だったのになぁ。

いかに不死身と言えど、真っ二つにされたら、それなりに痛いんだからな。

痛覚がなくなる訳じゃないんだぞ。

そこ、分かってるか?

「先に仕掛けてきたのは、お前だろう」

「まぁ、そうなんですけど…」

それどころか、殺すつもりで仕掛けたもんな。

そりゃ真っ二つにもされるよ。

あぁ痛かった。

「お前は、最も愚かで、最悪な選択をした」

「…」

「シルナ・エインリーに洗脳されたせいだ。お前の望む悲願を、綺麗事で飾り立て、自分の手駒にする…。あいつの、いつものやり方だ」

で、僕もそれに引っ掛かった、愚か者だと。

あぁそうかい。

どうせ僕は、愚か者だよ。

でも愚か者なのは、今に始まったことじゃない。

「憐れな男。私の手を取っていれば、お前の望みを叶えてやれたものを。自ら首を絞めるような真似をして」

「えぇ…。それは、そうなんですけど…」

見事上半身と下半身が合体したので、よろよろと起き上がる。

あぁ、痛かった。

「…約束、したもんですから」

他ならぬ、世界で一番愛しい人に。

たった一言、「生きて」って。

だから僕は、もう死にたがりじゃない。

生きる。

生きて生きて生きて、最後の血の一滴になるまで、生きることを諦めない。

だって。

「…僕、好きな女の子の前では、格好つけたい系男子なんで」









そう言うと、君はおちょくって笑うだろう。

でも、あれって、僕本気だから。

僕達が許される日は、少なくとも、今日ではない。