神殺しのクロノスタシス2

「…もし、あなたと手を組んだとして」

「…」

「僕は最初に、何をすれば良いですか?」

「まずは、イーニシュフェルト魔導学院を破壊しろ」

…はぁ、破壊。

「何で?」

学院は関係ないだろうに。

「理由など問うな。心を読めば分かるだろう」

「あ、はい…」

このお嬢さん、余程イーニシュフェルト魔導学院が嫌いらしい。

と言うか、シルナ学院長が嫌いらしい。

自分が捨て、裏切った故郷の名前を、己の学院につけ。

そこでのうのうと暮らしながら、自分の手駒を増やしている。

それが気に食わないから、まずはイーニシュフェルト魔導学院を破壊する。

生徒もろとも、建物ごと、どっかーん、と。

そりゃ、やろうと思えば余裕だよ。

リリスの力を借りるまでもない。

おまけに僕は、今やイーニシュフェルト魔導学院の教師。

学院内を歩いていても、咎められることはない。

しかも。

今の僕は、シルナ・エインリーと羽久・グラスフィアの信用を得ている。

あの二人は、僕を味方だと思っている。

だから、二人を油断させ、一気に学院を破壊し。

二人が混乱しているところを、とりあえず羽久・グラスフィアの方だけでも、拉致してくれば良い。

同じことが、聖魔騎士団にも言える。

シルナ学院長に信用されてるってことは、聖魔騎士団にも信用されてるってことだ。

今すぐ聖魔騎士団を訪ねて、「ベリクリーデさんに、学院長から伝言があるので」と言えば。

簡単に、ベリクリーデ・イシュテアに接触出来る。

拉致してくるのも、容易いのでは?

どうせ僕は不死身なんだし。追跡されても怖くない。

良い案だね、ヴァルシーナ。

悪どくて、とても魅力的な提案だ。

上手く行けば、僕の悲願が叶うのは、そう遠くないだろう。

うん、考えれば考えるほどに、魅力的。

所詮僕は、『殺戮の堕天使』だとか何とか、格好良い名前で呼ばれてたこともあるけど。

結局のところ、ただの死にたがりでしかない。

だったら、別に贖罪の為にとか、綺麗な言葉を使わなくても。

死にたくても死ねない理由を探さなくても。

ヴァルシーナの手を取れば、近い未来、僕は確実に死ぬことが出来る。

「…良い案だなぁ…」

思わず、手を伸ばしたくなっちゃうじゃないか。

でも。






「…rlaughtes dinw」

僕は、ヴァルシーナに杖を向けた。