神殺しのクロノスタシス2

僕は、ずっと死にたかった。

不死身の呪縛から逃れたかった。

永遠の孤独から解放されたかった。

その為に『カタストロフィ』と手を組んだ。

結局、それは僕が一方的に利用されるだけで終わったけど。

あんたに、神殺しの魔法が使えるなら、話は違う。

再びヴァルシーナについて、ヴァルシーナの味方をして。

そうすれば、「ご褒美」として、神殺しの魔法で僕を殺してくれる。

「…でも、あなた最初に僕を勧誘したときも、似たようなこと言ってませんでした?」

自分に味方し、イーニシュフェルト魔導学院にスパイとして潜入し。

無事ベリクリーデと羽久・グラスフィアを拉致し。

シルナ・エインリーを引き摺り出したら。

シルナ・エインリーに殺してもらえるよ、って。

そんな理由で、僕を釣ったじゃないか。

結局、それは道化で終わった。

そしてまた、同じように勧誘を受けている。

「僕、あなたに一度騙されてるんですけど」

「…」

「今度もまた騙されるんじゃないかって疑うのは、当然じゃありません?」

そもそもさ。

裏切った相手が、「今度は裏切らないからもう一回組もうよ」って言われて。

「うん分かった信じるよ!」って言う奴、いる?

本物のノータリンじゃん。

「そう思うなら、私の心を覗け」

「…」

「今度はお前を殺してやる。全て終わった暁には、お前を殺し、お前の願いを叶えてやる」

…この人。

…本気で、言ってる。

心読むの面倒だからやめようと思ったけど。

覗いてみたら、今度は嘘じゃない。

ベリクリーデ、ってかベリクリーデの中にいる神様をを取り戻し。

二十音・グラスフィアの中にいる神様を殺し。

裏切り者のシルナ・エインリーも始末したら。

何もかも終わって、世界を「あるべき世界」に戻したら。

その手伝いをして、協力して、手を貸せば。

全てが終わったとき、彼女は本気で、僕を殺してくれる。

「…成程…」

それはそれは…。

なんとも魅力的な餌じゃないか。

シルナ学院長とは違って、ヴァルシーナは僕に、「生きて」とは言わない。

死にたきゃ死ねば良い。必要なら手を貸してやる、と。平気でそう言える女だ。

ヴァルシーナなら、僕を…僕達を殺してくれる。

僕の願い。

長年、狂いそうになりながら、ってかもう本気で狂いながら、死に場所を求めてさまよっていた。

でも、もうさまよわなくて良い。

ヴァルシーナについていけば、僕は僕の夢を叶えることが出来る。

終末という、夢を。

それは…とても魅力的だね。

「…そうですか」

「興味が湧いたか?」

「そりゃあもう…」

興味なんて、あり過ぎてびっくりするよ。