神殺しのクロノスタシス2

「えー、皆さんも掲示板を見て、既に分かってると思いますが」

「…」

「今日から、放課後お悩み相談室を開きます!」

「…」

「…何で皆、無言なの?」

いや…別に…。

俺は既に聞かされてたし…。

「なんか掲示板に貼ってありましたね。冷やし中華始めましたみたいなノリで」

ナジュも、俺と同じ発想してる。

「私も見ました。また妙なことを思い付いたんでしょう」

白い目のイレース。

また目安箱のときみたいな、学院長の突然の思いつきに過ぎないと、思っているのかもしれない。

実際その通りである。

イレースにしてみれば、「はいはいまた何かやるのね」くらいにしか思ってないんだろう。

実際その通りである。

「皆何でそんな消極的なの!?」

「何でと言われても…」

俺もイレースと同じで、「あーまた何か始めたくなったんだな」くらいにしか思ってないし。

「皆無関係じゃないんだよ!相談員は私達四人なんだから!」

マジ?

「僕達が相談員やるんですか?」

「そうだよ。だってイーニシュフェルト魔導学院には、四人しか教師がいないんだもん。私達がやらなきゃ、他に誰がやるの」

ま、まぁそうなんだが。

そんな突然言われてもな。

「馬鹿馬鹿しい。私は教師の資格は持ってますが、カウンセラーの資格は持っていませんよ」

相変わらず、正論で返すイレース。

そういえば、そうだな。

俺、カウンセリングとかどうやったら良いのか分からない。

傾聴の姿勢…とか言うんだっけ?ああいうの…。

「そういうことなら、僕に任せてくださいよ」

と。

ナジュが、自ら手を上げた。

「僕なら、相談内容を聞くまでもなく、悩みを言い当ててみせますよ」

そりゃお前はそうだろうけど。

まさか生徒の方も、心の中丸見えにされてるとは思ってないだろうな。

「おぉ!ナジュ君頼れる!」

…本当に頼れるのか?

確かに、心の中を覗くというスキルがあるナジュなら、悩みを聞くまでもなく、相談内容を当てられるだろうが…。

しかし、この男には、決定的な欠点がある。

「なぁ、ナジュ」

「はい、何ですか」

「実は私、自分の顔に自信がないんです。ブスだと思われてないか不安なんです」

「整形したらどうですか?」

ほら、これ。

これだよ。

「お前は絶対、カウンセラーには向いてないな」

「えー?」

えーじゃねぇよ。

良いか、相談してくるクライアントっていうのは、解決策を求めてるんじゃないんだ。

まずは寄り添ってあげろよ。

それをお前、あっさり整形しろって。

「済みません、僕自分の顔に自信があるので、そういう相談されても分からないんですよね」

はいはいそうですか。

皆、どんなに悩んでても、ナジュにだけは相談するなよ。