神殺しのクロノスタシス2

「え。イーニシュフェルト魔導学院って、そんなシステムあるんですか?」

こそっ、と聞いてくるナジュ。

「ない。よその学校のことは知らんけど、うちはない」

卒業生に、寄付金を募ることはあるけど、それも強制ではないし。

在学生とその保護者に、決められた学費以外の費用を請求することは、まずない。

ましてや、この女が言いたい、要するに賄賂の類は、全くない。

渡されたことがないとは言わないぞ?

「これで何とか便宜を図ってもらえたら…」みたいな感じで、渡そうとしてきた人はいる。

保護者のみならず、教育委員会のお偉い方々とかね。

でもシルナは、そういうのは全部突っぱねている。

ハナから受け取るつもりはないのだ。

そういうところはちゃんと、叩かれても埃が出ないようにな。

生徒も平等に扱ってる。

特定の生徒だけ点数を上げたり、下げたりするようなことはない。

俺もシルナも、イレースなんか特にな。

「僕も含めてくださいよ」

「お前がどんな採点してるのか、俺はまだ知らないからな」

「心配しないでください。本当に面倒になったときは、全員10点満点にするか、全員1点にするかのどっちかにしますから」

それをやるなら、せめて真ん中取って5にしろ。

「私はあくまで、学院長が決めた採点法で採点してるだけです。全員平等に扱ってます!学院長の判が捺してあるでしょう」

「どうだか!その学院長だって、親から寄付金巻き上げて、金持ちの生徒だけ勝手にいじくってるんでしょ!」

「あぅ~…。あわわわ…」

収まらない、女性陣の熱い戦い。

おろおろするしかないシルナ。

「もう一生、このまま放置で良くないですか?」

「奇遇だな、ナジュ…。俺もそう思い始めてきたところだ」

戦略的撤退を思案する、俺とナジュ。

「こんな肝っ玉の小さい学院長が、賄賂なんて受け取る訳がないでしょう!勝手な言い掛かりはよしてください!」

「何を言ってるのよ!差し出されたらホイホイ受け取る癖に!入学式のときから思ってたのよ。こんな善人面した人間が、案外腹黒いものなのよ!」

…段々、シルナの悪口大会みたいになってきてね?