神殺しのクロノスタシス2

誰もが思った。

あ、これヤバイ奴だ、と。

とりあえず逃げた方が良い気がしたが、

ナジュが真っ先に、菓子を摘まんだまま俺の後ろに隠れ、盾にしやがった。

お前は、後で殴る。

「13にもなる子供を持ちながら…情けないとは思わないんですか」

「な、何よ…」

イレースのあまりの気迫に、ユーマ母が初めてたじろいだ。

やべぇ。

シルナまで、あまりのイレースの気迫に、ぷるぷるしている。

「あなた、自分の言ってることが分かってるんですか」

「わ、分かってるわよ。私の言ってることは間違ってな、」

「じゃあこちらに非があるって言うんですか?何度も言ったでしょう。こちらは厳正に成績をつけるのが仕事なんですよ。一人だけ特別扱いなんて、出来る訳ないでしょう!」

「特別扱いしてくれなんて言ってません!ちゃんと正しく成績をつけなお、」

「ちゃんと正しくつけて、その結果なんですよ」

凄ぇ。イレース。

相手に喋らせる隙を与えてない。

「受け入れなさい現実を!あなたが何を喚こうと、それがあなたの息子の成績なんですよ」

「…!!」

よし、言ってやったぞイレース。

よくやった。

凄く遠回しに、「お前の息子は所詮その程度なんだよ」と言ってるようなもんだ。

実際その通りだし。

「こんな下らないことで学院まで押し掛けてきて、恥ずかしくないんですか?我々に何の非があると言うんですか」

「ひ、非があるに決まってるでしょう!うちの子は優秀なのに、あなた達がちゃんと評価しないか、」

「当校は!全ての生徒に対して、魔導教育法に則った成績評定にて評価を出しています。何度も言ってるでしょう!」

「じ、じゃあ、あなた達の教え方が悪いか、」

「私の教え方が悪い…!?そこの軟弱甘ちゃん学院長と一緒にしないでくれます?私はきちんと指導しています。手を抜いたことは一度としてありません」

なんか、シルナがとばっちりを受けてる。

あ、俺も手を抜いたことはないから大丈夫。

「僕、何回か手を抜いちゃいました…。『今日天気良いから、勉強なんかやめて、昼寝しません?』とか言って…」

と、後ろからナジュがぽつり。

お前は、後でシルナと一緒にイレースの鉄拳制裁を受けろ。

「これでも、イーニシュフェルト魔導学院の方針に合わせて、甘く採点しているんですよ?私はもっと厳しく採点したいのに」

鬼教官だったもんな。

「だから、文句があるなら、学院長に言ってください。何で私が、こんな馬鹿馬鹿しいことに時間を費やさなければならないんです。そこの、暇さえあれば菓子をかっ食らってる学院長と違って、私は忙しいんです!」

シルナへのとばっちりが凄い。

あと、今菓子をかっ食らってるのは、シルナじゃなくてナジュだ。

「学院長!?学院長が私の息子にこんな成績をつけたんですか!?」

「魔導教育法に則って、学院長が成績評定を決めたんですよ。だから私に文句を言われても困るんです!」

「え、えぇ…。そんなぁ…」

シルナ、半泣き。

最早応接室は、阿鼻叫喚以外の何物でもなかった。