この人の場合。
本人がって言うより、お母さんの方が自惚れてたみたいだな。
多分本人は、もう気づいているんだと思う。
今までのようには行かない、と。
むしろ今までと同じやり方では、通用しない、と。
何とか追い縋るようについていって、ギリギリこの成績を維持している。
別に良いじゃないか。
イーニシュフェルト魔導学院は、入学から卒業まで六年間もあるのだ。
これから少しずつ、いくらでも挽回していけば良い。
何なら、このままずっと、崖っぷちの成績のままでも良い。
イーニシュフェルト魔導学院卒業、と履歴書に書いてあれば、それだけで立派な烙印だ。
例えそこで、底辺の成績だろうが、な。
そんな、学生時代の成績表ぶら下げて生活する訳でもなし。
そこまで神経質にならなくても良いじゃないかと、俺は思うのだが…。
「いいえ。うちの子は優秀なんです」
あ、そう。
そんなに息子に自信があるのか。
それとも、そんな息子を育てた自信があるからか。
「だから、こんな成績表は間違いです。ちゃんと直してください」
「え、えぇと。そう申されましても…。当校としても、特定の生徒だけを特別扱いすることは出来なくて、」
「特別扱いしろなんて言ってないでしょう!まるでこちらが悪いみたいに!」
いやそっちが悪いだろ。
と、言わなかった俺、偉い。
「いや、そっちが悪いでしょ…」
ぼそっと呟いたナジュ。お前は駄目だ。
まぁ、聞こえてないみたいだからセーフ。
「特別扱いじゃなくて、正当な成績に戻せって言ってるの!」
それが特別扱いじゃなかったら、何なんだよ。
「うちの子は優秀なんだから、今までの成績表みたいに、ちゃんと一番にしてもらわなきゃ困ります!」
「え、あの、ちょ、お母さん落ち着いて」
「私はちゃんと落ち着いて話してるでしょ!?」
「何処が?」
ボリボリとお菓子を食べながら聞くナジュ。
残念ながら、全然聞いてないみたいだけど。
面倒なモンペが来たもんだなぁ…。
本人は良いとして、息子であるユーマが可哀想だよ。
彼も彼なりに頑張ってるんだろうしな。
その結果、この成績なら、そこは怒るのではなく褒めるところだろう。
「と、当校は、国の魔導教育法と、イーニシュフェルト魔導学院の成績評定法に基づいて、厳正に評価を、」
「これの何処が厳正な評価よ!うちの子を馬鹿にして!」
「そ、そ、そんなことは。ユーマ君はまだ一年生ですし、これから少しずつ…」
「そんな悠長なこと言って、誤魔化そうとしたってそうは行かないわよ!ユーマの成績を直してくれないなら、私はここから動きませんから!」
王様かよ。
ユーマ母、一歩も譲る気なし。
だったら、もう一生そこにいれば?
あ、でも応接室が使えないから邪魔だな。
「…どうします?羽久さん。不法侵入で通報します?」
「いや…。学校でのトラブルに警察は巻き込みたくないから…」
警察沙汰になんかしたら、生徒を心配させるだけだ。
何とかユーマ母に、折れてもらわなければ。
これは長期戦になりそうだ、と。
思った、そのとき。
「…さっきから聞いていれば、勝手なことを」
我がイーニシュフェルト魔導学院唯一の女性教師。
そして、元ラミッドフルス魔導学院の鬼教官が。
メラメラと、怒りの炎を燃やしながら立ち上がった。
本人がって言うより、お母さんの方が自惚れてたみたいだな。
多分本人は、もう気づいているんだと思う。
今までのようには行かない、と。
むしろ今までと同じやり方では、通用しない、と。
何とか追い縋るようについていって、ギリギリこの成績を維持している。
別に良いじゃないか。
イーニシュフェルト魔導学院は、入学から卒業まで六年間もあるのだ。
これから少しずつ、いくらでも挽回していけば良い。
何なら、このままずっと、崖っぷちの成績のままでも良い。
イーニシュフェルト魔導学院卒業、と履歴書に書いてあれば、それだけで立派な烙印だ。
例えそこで、底辺の成績だろうが、な。
そんな、学生時代の成績表ぶら下げて生活する訳でもなし。
そこまで神経質にならなくても良いじゃないかと、俺は思うのだが…。
「いいえ。うちの子は優秀なんです」
あ、そう。
そんなに息子に自信があるのか。
それとも、そんな息子を育てた自信があるからか。
「だから、こんな成績表は間違いです。ちゃんと直してください」
「え、えぇと。そう申されましても…。当校としても、特定の生徒だけを特別扱いすることは出来なくて、」
「特別扱いしろなんて言ってないでしょう!まるでこちらが悪いみたいに!」
いやそっちが悪いだろ。
と、言わなかった俺、偉い。
「いや、そっちが悪いでしょ…」
ぼそっと呟いたナジュ。お前は駄目だ。
まぁ、聞こえてないみたいだからセーフ。
「特別扱いじゃなくて、正当な成績に戻せって言ってるの!」
それが特別扱いじゃなかったら、何なんだよ。
「うちの子は優秀なんだから、今までの成績表みたいに、ちゃんと一番にしてもらわなきゃ困ります!」
「え、あの、ちょ、お母さん落ち着いて」
「私はちゃんと落ち着いて話してるでしょ!?」
「何処が?」
ボリボリとお菓子を食べながら聞くナジュ。
残念ながら、全然聞いてないみたいだけど。
面倒なモンペが来たもんだなぁ…。
本人は良いとして、息子であるユーマが可哀想だよ。
彼も彼なりに頑張ってるんだろうしな。
その結果、この成績なら、そこは怒るのではなく褒めるところだろう。
「と、当校は、国の魔導教育法と、イーニシュフェルト魔導学院の成績評定法に基づいて、厳正に評価を、」
「これの何処が厳正な評価よ!うちの子を馬鹿にして!」
「そ、そ、そんなことは。ユーマ君はまだ一年生ですし、これから少しずつ…」
「そんな悠長なこと言って、誤魔化そうとしたってそうは行かないわよ!ユーマの成績を直してくれないなら、私はここから動きませんから!」
王様かよ。
ユーマ母、一歩も譲る気なし。
だったら、もう一生そこにいれば?
あ、でも応接室が使えないから邪魔だな。
「…どうします?羽久さん。不法侵入で通報します?」
「いや…。学校でのトラブルに警察は巻き込みたくないから…」
警察沙汰になんかしたら、生徒を心配させるだけだ。
何とかユーマ母に、折れてもらわなければ。
これは長期戦になりそうだ、と。
思った、そのとき。
「…さっきから聞いていれば、勝手なことを」
我がイーニシュフェルト魔導学院唯一の女性教師。
そして、元ラミッドフルス魔導学院の鬼教官が。
メラメラと、怒りの炎を燃やしながら立ち上がった。


