神殺しのクロノスタシス2

学校によって、成績評定の方法は異なっているが。

我がイーニシュフェルト魔導学院の場合。

各科目、10点満点で成績を出している。

1が一番下で、10が一番上。

まぁ、大抵の魔導学校が、この方法を採用している。

で、今回問題になっている、ユーマ・ウェズライの成績表。

ナジュは、その成績表をじーっと眺め。

「…低いですね」

こいつは、思ったことを何でも口に出す癖を、切実に何とかした方が良い。

火に油どころじゃない。

「うちのユーマは優秀なのよ!こんな成績の訳ないわ!」

「はぁ…そうなんですか」

ユーマ・ウェズライの成績は、残念ながらと言うべきか。

あまり、人にお見せ出来るような成績表ではない。

むしろ、ちょっと隠した方が良いくらい。

絶望的に低いってほどでもないけれど、良いか悪いかで言えば、はっきり言って悪い。

10点満点中、3とか4とか…四捨五入したら0になりそうな点数が並んでいる。

たまに5も二つ三つあるが、全体的には低め。

平均以下と言って良いだろう。

「成績表は我々教員が、厳正な成績評定によって、一人一人間違いのないよう作成しています。その成績表に誤りはありません」

イレースは、こちらには何の非もないと言わんばかり。

彼女も、こんな下らないことに時間を取られて、イライラしているらしい。

普段以上に、口調が刺々しくなってきている。

「何ですって!?」

「まぁ良いじゃないですか。たかが成績表くらいのことで怒るなんて。イーニシュフェルトにいるんだから、その時点でそこそこの魔導師にはなれますよ」

珍しくナジュが正論を言ったが。

ユーマ母にとっては、更に怒りをパワーアップさせただけのようで。

「もう一度書き直してきなさいよ!うちの子はもっと成績良いはずでしょ!」

「一度発行された成績表は、こちらに不備がない限り書き直しはしません」

「不備があるって言ってるんでしょ!」

「いいえ、こちらに不備はありません。それが、紛れもなくあなたの息子さんの成績表です」

「~っ!!」

イレースも、言うときは言うからなぁ。

頑なさでは、誰にも負けない。

ある意味、ナジュより地雷かもしれない。

「まぁ気にしなくて大丈夫ですよ、お母さん。ね?よく考えてみてください。お宅の息子さんの人生は長い。その長い人生の中で、こんな紙切れ一枚に、何の価値があるんです?」

で、ナジュも負けないくらい地雷。

「私の息子の成績表に、何の価値もないですって!?」

「え?はい…。それどころか、別に興味もないですけど…」

そりゃナジュにとってはそうだろうが。

ユーマ母にとっては、そうではないのだ。

ナジュにとって、鼻紙くらいの価値しかない紙切れでも。

ユーマ母にとっては、息子の未来に関わる、大事な成績表なのだ。

「何なのよこの学校は!」

「イーニシュフェルト魔導学院です」

「話にならない!ここにはまともな教師はいないの!?」

「僕が一番まともです」

一番の変人が、有り得ないことを言った。

で、この辺りで、シルナ分身が、校舎の入り口で揉めている彼らを見つけ。

シルナと俺のもとに、そのニュースが飛び込んできた。