「何が楽しくて、野郎二人と風呂入ろうとしてんですかねぇ、僕」
「お前さぁ…。少しは隠す努力しろよ…」
俺は、げんなりとしてナジュに言った。
発言の問題じゃないぞ。
こいつが何でも思ったこと、ポンポン言い出す奴だってことは分かってるし。
今更改善を求めたところで、無駄だということも分かってる。
そうじゃない。
もっと物理的な問題。
お前が肩にかけてるタオルは、何の為にあると思ってるんだ。
少しは隠せ。裸体を。
なんか見せつけられてるみたいで、嫌なんだけど?
「良いじゃないですか、男同士なんだし」
「それはそうだけど」
「それに、学院長が隠してるなら、それで良いです」
…確かにな。
中年のおっさんの裸体なんて、もう見るに耐えんからな。
モザイクかけたいレベル。
「羽久が…私に失礼なこと考えてる気がする…」
ちゃんとタオルで身体を隠したシルナが、ジト目でこちらを見ていた。
よし、そのまま隠しとけよ。
俺達の精神衛生の為にな。
そして、いざ。
入浴タイム。
露天風呂ってあれだよな。
風呂に浸かってるときは良いんだけど。
如何せん屋外なもんだから、脱衣場から出て湯の中に入るまでが、割と地獄。
「うわ、さっむ」
まだ秋とはいえ、全裸で屋外はさすがに寒い。
「あーやだやだ。早く浸かりたい」
「あ、お前コラ。まず掛け湯をしてから」
と、言ったときには既に遅い。
ナジュは、水泳よろしく、そのままどぼーん、と大理石の浴槽に飛び込んだ。
誰かあいつに、マナーとかそういうのを教えてやってくれよ。
守る気さらっさらないんだから。
「あぁ…。寒い。寒いねぇ羽久」
その後ろから、震える学院長登場。
そういやいたなお前。ナジュと比べてキャラ薄くなってきてるから、忘れかけてたわ。
「…羽久が…私に失礼なことを考えてる…気がする…」
「気のせいだ。ほら、掛け湯して入るぞ」
俺達はマナーを守るぞ、ちゃんとな。


