──────…許す、か。

こんな殺人鬼を、許すのか。

許す許すって、そんな簡単に言うもんじゃないよ。

つい、その言葉に甘えたくなってしまうから。

自分が許されてるなんて、間違っても思っちゃいけない。

それなのに、僕を許すとは。

よく、漫画やドラマなんかで言うだろう?

「人を殺してしまったのなら、これからは殺した数以上の人を助けろ」とか。そういう類の台詞。

僕、あれ嫌いなんだ。

だって、これからどれだけの命を助けようと。

殺された人の命が、戻ってくる訳じゃないんだから。

だから僕の罪は、きっと許されない。

今までも、これからもずっと。

そうか。でも、リリス。

いたよ、僕達を許すって言ってくれた人。

だからほんの少し、一人分だけ。

心の重荷を、軽くしても良いかな。