「焦らなくて良いんだよ。人生は長い。ゆっくり慣れていけば良い。ゆっくり学んでいけば良い。早まる必要はないんだ」

そうそう。

シルナなんか見てみろ。

この歳になっても、未だに焦る気配すらない。

呑気にもほどがある。

シルナほどになれとは言わないが、少しくらいは見習えば良い。

「周りの誰がどれほど優れてるように見えても、シャーロットちゃんはシャーロットちゃんだから。シャーロットちゃんにはシャーロットちゃんの、良いところがあるから。それを忘れないで」

「…はい…」

シャーロットは、ぽろぽろ涙を流しながら頷いた。

「泣かなくて良いんだよ。ゆっくり慣れていこう。不安になったり、分からないことがあったら、何でも相談して。必ず力になる。シャーロットちゃんにとって一番良い解決策を、一緒に考えるから」

「…ありがとう…ございます…」

「よしよし、大丈夫。少しずつでも良い。まずは、授業に出てみよう。午後だけでも、一時間だけでも良い。ちょこっと校舎に入ってみるだけでも良い。ちょっとずつ慣れていこう」

そしていつか、気づいたら、毎日通えるようになっているだろう。

今までも何人か、そんな生徒がいた。

泣きじゃくるシャーロットが泣き止むまで、シルナはうさぎパペットや猫パペットで宥めてやっていた。

…その人形、無駄にならなくて良かったな。