「シュニィ!アイナ!帰ったぞ!」

凄まじい破壊音が、部屋の中に響き渡った。

と、同時に。

吹き飛んだ氷の扉が、パーシヴァルの横腹にぶつかって、扉ごとパーシヴァルが吹き飛んだ。

私は、あまりのコントみたいな出来事に、涙が引っ込んでしまった。

…え?

「ふぅ。今日は寒いな。何だこの部屋は?冷凍庫みたいだな」

…部屋の中に入っ…乱入してきたのは、他ならぬ私の夫。

アトラスさんである。

「お、おとうしゃま~!」

半泣きのアイナが、アトラスさんに駆けていった。

「おー、よしよしアイナ。お父様が帰ってきたぞー」

軽々とアイナを抱き上げ、いとおしそうに頭を撫でるアトラスさん。

え、えーっと。

私、何て言えば良いんでしょう?

「しかし、この部屋、鍵が壊れてるのか?ノブを引っ張っても回しても開かないもんだから、押してみたんだが…」

…。

「まぁ、そんなことはどうでも良いな!よし、アイナ。そろそろおやつの時間だ。お母さんも誘って、一緒に…」

…。

「…うぉっ!?何だ、壁に穴が開いてる!?どうしたんだこれは」

…気づいたのは、今ですか。

「これね、おかあしゃまがやったの。どかーんって」

「そうかそうか。まぁ、そんなことはよくあることだ。気にするな」

気にしてください。

あなたは、もっと色々なことを気にしてください。

まず、自分がドアを蹴り飛ばして入ってきたことから気にしてください。

「さてシュニィを呼ん…って、どうしたんだシュニィ!?」

アトラスさんは、私が座り込んでいるのを見て、血相を変えた。

「大丈夫か、しっかりしろ」

「だ、だ、大丈夫です…」

氷の刃が突き刺さった肩と背中が、今更じくじく傷み始めた。

あまり深くはないものの、流血していた。

アイナに、そしてお腹の子に当たらなくて、本当に良かった…。

と、私はホッと胸を撫で下ろした。

…の、だが。