神殺しのクロノスタシス2

一度感情を吐き出すと、シャーロットは次々と苦しい胸のうちを語り始めた。

まるで、ずっと溜めていたものが一気に噴出したように。

「私、ずっと田舎に住んでて、田舎の魔導学校に通ってて…。両親も、魔導適性はあったけど、魔導師ではなくて…。それなのに、私は何故か魔導適性が他の子より強くて…」

「…」

シルナは、頷きながら黙って聞いていた。

魔導適性の有無は遺伝に大きく関係があるが、しかし、必ずしも遺伝だけで決まる訳ではない、と最近の研究で判明している。

両親の魔導適性が高くなくても、その子は魔導適性に優れる場合もあれば。

逆に両親の魔導適性が高くても、子供はそれを受け継がない場合もある。

結局のところ、魔導適性の有無なんてものは、神のみぞ知る、ということなのだろう。

「周囲から勧められてイーニシュフェルトを受けたけど…。まさか本当に受かるとは思ってなくて…」

お試し感覚で受けてみたら、意外に引っ掛かっちゃったってことか。

天才肌か。

しかし、重要なのはそこではない。

つまりシャーロットは、本気で地元を離れるつもりで、イーニシュフェルトを受験した訳じゃなかったってことだ。

思いの外受かっちゃって、喜び半分驚き半分、浮かれた気分のまま、王都に来てしまった。

そして、いよいよ生まれて初めて王都にやって来て。

瞬く間に半月ほどが過ぎて、ようやく気づいたのだ。

自分が、故郷から遠く離れた場所に来てしまったということに。