「何なら開けてくれる?何でも用意してくるから!あっ、最近の若い子は、むしろちょっとマイナーな動物の方が好きなの?ワニとか?アルパカとか?」
私ニシキヘビ好きなんです、って言われたら、本当に用意してきそうな勢いだな。
「何でも持ってきてあげるから~!開けて~!」
目的変わってね?
シャーロットは別に、パペット人形が欲しいから引きこもってる訳じゃないだろ。
「お願いだよ~!折角授業の合間に買ってきたシルナうさぎが」
お前、この為にわざわざ買ってきたのかよ。
世の中に、こんなに無駄な買い物があるだろうか。
「シャーロットちゃぁぁぁん。うさぎぃぃぃ」
うさぎーじゃねぇ。
いよいよもって見苦しいので、そろそろシルナを窓から放り投げようかと思ったら。
「い、嫌です。私…話したくないです」
シャーロットが、震える声で言った。
話したくない…ねぇ。
「話したくない…?じゃあ話さなくて良いから、一緒にケーキ食べよう…?」
そしてお前は、二日続けて生徒をケーキで釣るのか。
話したくないって、多分そういう意味じゃないから。
誰にも会いたくないって意味だから。
「ケーキ…。チョコケーキ食べようよー一緒に…」
しかもまたチョコか。
「シャーロットちゃん…。しる、シルナうさぎだよほら。シルナうさぎ、ケーキ食べたいな~」
パペットやめろって。
ケーキを食べたいのはうさぎじゃなくて、他ならぬ自分だろうに。
…あぁ、頭痛くなってきた。
…とにかく。
部屋を開けるも開けないも、ケーキを食べるも食べないも、本人次第ではあるけれど。
「いつまでそうしてたって、現状は何も変わらないぞ」
俺は、扉越しにシャーロットに向かって言った。
「ちょ、羽久」
「お前はまだ子供なんだから、困ったら遠慮なく大人に頼れば良いんだ。ましてや、シルナがこうして手を差し伸べてるんだから。助かろうと思えば助かる。そのチャンスを、自分からフイにするのか?」
厳しいことを言ってるのかもしれない。
だが…自ら助かろうとしない者を、助けることは出来ない。
ならば。
「自分ではどうにも出来ないと思っていても、実は何とかなることはいくらでもある。まずは、他人に相談してみることから始めてみたらどうだ?」
「…」
俺がそう言って、ほんの十数秒。
少しだけ、扉が開いた。
「!うさちゃん!シルナうさぎちゃんだよ!」
すかさずパペットをつけるシルナ。
「うさぎちゃんとお話ししよ!」
「…」
扉が開き、ようやく俺達は、シャーロット・エフィラムの姿を見ることが出来た。
肩まで届く髪がボサボサになり、薄い水色のルームウェアを着た、まだあどけなさの残る少女。
それが、彼女であった。
私ニシキヘビ好きなんです、って言われたら、本当に用意してきそうな勢いだな。
「何でも持ってきてあげるから~!開けて~!」
目的変わってね?
シャーロットは別に、パペット人形が欲しいから引きこもってる訳じゃないだろ。
「お願いだよ~!折角授業の合間に買ってきたシルナうさぎが」
お前、この為にわざわざ買ってきたのかよ。
世の中に、こんなに無駄な買い物があるだろうか。
「シャーロットちゃぁぁぁん。うさぎぃぃぃ」
うさぎーじゃねぇ。
いよいよもって見苦しいので、そろそろシルナを窓から放り投げようかと思ったら。
「い、嫌です。私…話したくないです」
シャーロットが、震える声で言った。
話したくない…ねぇ。
「話したくない…?じゃあ話さなくて良いから、一緒にケーキ食べよう…?」
そしてお前は、二日続けて生徒をケーキで釣るのか。
話したくないって、多分そういう意味じゃないから。
誰にも会いたくないって意味だから。
「ケーキ…。チョコケーキ食べようよー一緒に…」
しかもまたチョコか。
「シャーロットちゃん…。しる、シルナうさぎだよほら。シルナうさぎ、ケーキ食べたいな~」
パペットやめろって。
ケーキを食べたいのはうさぎじゃなくて、他ならぬ自分だろうに。
…あぁ、頭痛くなってきた。
…とにかく。
部屋を開けるも開けないも、ケーキを食べるも食べないも、本人次第ではあるけれど。
「いつまでそうしてたって、現状は何も変わらないぞ」
俺は、扉越しにシャーロットに向かって言った。
「ちょ、羽久」
「お前はまだ子供なんだから、困ったら遠慮なく大人に頼れば良いんだ。ましてや、シルナがこうして手を差し伸べてるんだから。助かろうと思えば助かる。そのチャンスを、自分からフイにするのか?」
厳しいことを言ってるのかもしれない。
だが…自ら助かろうとしない者を、助けることは出来ない。
ならば。
「自分ではどうにも出来ないと思っていても、実は何とかなることはいくらでもある。まずは、他人に相談してみることから始めてみたらどうだ?」
「…」
俺がそう言って、ほんの十数秒。
少しだけ、扉が開いた。
「!うさちゃん!シルナうさぎちゃんだよ!」
すかさずパペットをつけるシルナ。
「うさぎちゃんとお話ししよ!」
「…」
扉が開き、ようやく俺達は、シャーロット・エフィラムの姿を見ることが出来た。
肩まで届く髪がボサボサになり、薄い水色のルームウェアを着た、まだあどけなさの残る少女。
それが、彼女であった。


