神殺しのクロノスタシス2

俺がドン引きしているのをよそに、シルナは自信満々の様子で、うさぎ。ぴょこぴょこ。

「開けて欲しいな~。シルナうさぎさん、シャーロットちゃんとお話ししたいな~」

本気でキモいので、とりあえず一発ぶん殴ってから帰って良いかな。

「シルナうさぎさんは~。シャーロットちゃんの顔を見て~、お話ししたいな~」

「…」

そろそろ、シャーロットも現状を理解し始めた頃だろう。

どうやらこれは、うさぎの化け物が襲いに来たのではなく。

学院長が何やら企んで、ここに来たらしい、と。

色んな意味で怖いだろうな。

学院長が訪ねてきたってことと、しかもこんな手段で接触を図ってきたこと。

「シャーロットちゃ~ん。シルナうさぎだよ~。開~け~て~」

めっちゃウザい。

「い…嫌です」

シャーロットが、部屋の向こうから返事をした。

がーん!って顔のシルナ。

そりゃ嫌だろ。

俺でも嫌だわ。

しょぼん、と耳を垂らすシルナうさぎ。

「そ、そんな…。私の渾身のシルナうさぎが…」

何だ、その「断られるとは思ってなかった」みたいな顔。

むしろお前は、何故この方法が成功すると思ったんだ。

「くっ、シャーロットちゃんは、うさぎは好みじゃないということなのか…」

そうじゃないと思うけど、もう黙っておこう。

「…しかし!私はそんなことでは諦めないよ」

お?

「シャーロットちゃんがうさぎ派じゃなかったときに備えて…ほらっ!」

シルナは懐から、何かを取り出した。

…猫のパペット人形だった。

違う。そうじゃない。

「シルナ猫ちゃんだよ~。開けて~」

「い…嫌です…」

「猫派でもないの!?よし…じゃあこれだ!シルナひよこちゃん!」

「…嫌です…」

「シルナイルカちゃんならどうだ!」

「…」

「駄目?駄目なの?じゃあアザラシルナちゃん!」

「…」

「まだ駄目?ならシルナフクロウ…」

どんだけ持ってるんだ、お前は。

シャーロット、もう無言になってるじゃん。

「駄目なの?駄目なの?何なら良い?」

どの動物なら良い、とかじゃないと思うんだけど。

この学院長は、もしかして、いやもしかしなくても、アホなんだろうか。