神殺しのクロノスタシス2

普通に訪ねても、多分シャーロットは部屋に入れてくれないだろう。

何か特別な方法を使わなくては。

そこまでは、俺もシルナも同意見。

…で。

シルナが持ってきたのが、このピンク色の、うさぎのパペット人形。

シルナはシャーロットの部屋をノックし、ちょびっとだけ扉を開け。

その小さな隙間から、うさぎをひょこっ、と覗かせ。

ちっこいうさぎの手をぴょこぴょこ動かして、この気持ち悪い声真似。

「シャーロットちゃ~ん。うさぎさんですよ~」

これは殺意沸く。

シャーロット、この馬鹿うさぎ、叩き出して良いと思うぞ。

俺が許す。

良い歳して、何が「うさぎさんですよ~」だ。

今頃シャーロット、ぎょっとしてるに違いない。

何者が来たのかと。

「シルナうさぎだよ~」

正体バレバレじゃねぇか。

自ら名前を明かして、開けてくれると思ってるのか。

「な、何…?」

部屋の中から、シャーロットのものらしき、掠れた声が聞こえた。

そりゃそんな反応になる。

むしろ怖いだろうな。

「シルナうさぎさんは~。シャーロットちゃんとお話ししたいな~」

ぴょこぴょこ、と手を動かすシルナうさぎ。

これはキモい。

そして白々しい。

これが満を持した学院長の秘策かと思うと、情けなくて涙が出そうになるな。