神殺しのクロノスタシス2

昔、ある一年生の女子生徒が、いきなり授業を休みがちになって。

今回みたいに、詳しく話を聞いてみたところ。

なかなか打ち明けてくれなくて、時間をかけながら説得し。

顔を真っ赤にした女子生徒は、涙目で打ち明けてくれた。

実は、女性の月のもの…要するに初潮…が、まだ来ないのだ、と。

同級生は皆もう来てるのに、私だけまだで…と。

それを聞いて、シルナは土下座で謝ってた。

いたいけな女子生徒に、何を言わせてんだお前は。

デリケートな話だけに、女友達に相談するのも恥ずかしいだろうに。

ましてや男教師になんて、絶対相談出来ない。

あのときはまだイレースがいなかったので、シルナは聖魔騎士団に…シュニィに助力を求めた。

どうかしたんですか、と首を傾げるシュニィに、シルナはこれこれこういう事情で、と説明した。

女性の身体の、デリケートな話だから、相談に乗ってあげてくれないか、と。

シュニィは、そういうことなら、と快く引き受けてくれた。

後で聞くところによると。

「大丈夫、発育には個人差があるから、早い人もいれば、遅い人もいる。気長に待てば良いんですよ」と慰めたらしい。

更に、「もう少し待ってみましょう。それでもまだ心配なようなら、一緒に専門機関に相談しに行きましょう」と言って、自分の連絡先を渡したとか。

自分より大人の、それも女性であるシュニィに慰められたことで、その女子生徒は元気を取り戻し。

それ以降は、授業にも出席するようになった。

そして数ヶ月後、シュニィがこっそりと教えてくれた。

「先日お手紙届いたんです。彼女、もう大丈夫ですって」と。

あぁそうか、良かった。

やっぱり、個人差の範疇だったらしい。

…長くなったが、そんなケースもあるので。

もし同性相手ではないと話せないことなら、イレースに頼るべきだ。

すると。

「うん。イレースちゃんの方が良いようなら、そのときは彼女にお願いするよ」

と、シルナ。

やっぱり、まずは自分で行くらしい。

まぁ、シルナだから。

自分の生徒のこととなると、まずは自分が動かずにはいられないのだろう。

「でも…会ってくれるのか?」

「大丈夫。私、秘策を思い付いたから」

…秘策?

やけに自信満々なのは、その秘策とやらのせいか?

どんな秘策でも結構だけど…。

「…とりあえず、お前は口の周りを拭け」

「え?何かついてる?」

頼り甲斐があるのかないのか、いまいち分からない学院長である。