神殺しのクロノスタシス2

…さて。

ニーナを宥め、寮に返してから。

俺とシルナは、作戦会議を始めた。

「…どうする?」

「勿論助ける」

即答のシルナ。

まぁ、お前はそうだろうよ。

どうでも良いけど、口の端にチョコクリームついてるぞ。

その顔で助けるとか言われてもな。

「でも、会いたくないって言ってるんだろ?」

クラスメイトにも会いたくないって言ってるくらいのに…。

学院長が訪ねていって、「話をしよう」と誘っても。

むしろ、威嚇してるようなもんだ。

逆に恐ろしくて、何も打ち明けることは出来ないだろう。

これでも、新入生にはやっぱりまだ恐れられてるシルナだからな。

ましてや、何かを怖がっている生徒だ。

シルナが押し掛けていったら、更に怯えさせることにもなりかねない。

「長期戦も覚悟して…。まずは手紙でも…」

直接会うのは無理でも、文通なら受け入れてくれるかもしれない。

簡単なメモでも構わない。

まずは、俺達が敵ではない、むしろ助けようとしているのだと理解してもらうところから…。

…と、思ったが。

「その必要はないよ、羽久」

何故かシルナ、自信満々。

口の端にクリームついてるから、いまいち頼りない。

「どうするんだよ?まさか無理矢理突撃して、引き摺って連れてくる訳じゃないよな?」

もしそんなことをしたら、俺がシルナをぶん殴ってふん縛って。

ついでに、ルイーシュに頼んで亜空間に閉じ込めてもらって、一週間くらい正座で反省させるけど。

「勿論、そんなことはしないよ」

あぁ、それなら良かった。

命拾いしたな、シルナ。

まぁ、シルナがそんなことするはずないか。

「良い考えがあるんだ。明日、試してみよう」

「何で明日?」

今すぐ行けよ。

今この瞬間にも、泣いてるかもしれないんだぞ。

「いや…。今行ったら、部屋にニーナちゃんいるから…」

「…あー…」

ルームメイトの前じゃ、言いたいことも言えんわな。

聞かれたくないこともあるだろうし。

「…イレースは呼ばなくて大丈夫なのか?もし、同性じゃないと話しにくいことなら…」

思春期の少女だ。

同性にしか分からない悩みも、多々あるだろう。

男性教師には、なかなか言いにくいこともあるかもしれない。

その場合、イーニシュフェルトで唯一の女性教師であるイレースの出番だ。

実は、以前そんなことがあったのだ。