…まぁ。
聞かれて嬉しい話じゃないよな。
「…私も、よく知らないんです」
ニーナは、必死に俺達から目を逸らし、そう答えた。
「入学してから初めて会った仲ですし…。同じ部屋にはいますけど、まだそんなに親しい訳じゃ…」
「…」
…同い年とはいえ、お互い初対面同士、それに出身地もそれぞれ違う。
おまけに、13歳という、ただでさえ過敏で繊細な年頃の少女達。
そりゃお互い警戒し合うだろうし、出会ったその日から仲良し同士、なんて無理だろう。
よっぽど気が合う性格同士なら、初日から仲良く出来るかもしれないが。
中には、なかなか自分から話しかけるのは難しい、内気な生徒だっているはずだ。
ルームメイトだからって、必ずしも仲良くなれる訳じゃない。
おまけに、彼らはこの春、初めて親元を離れて、寮生活を始めたのだ。
新しい学校、新しい環境…身の回りにあるものが急激に変わり、それに適応するだけでも大変なはずだ。
まず自分が環境に適応することだけで精一杯で、他人の…ルームメイトのことなんて、気にかけてる余裕はない。
それは分かる。
こちとら、毎年新入生を迎えているのだ。
彼らが新しい学生生活に馴染んでいくには、短くない時間がかかることは知ってる。
だからこそ、長い目で見ていくつもりだったのだが…。
「そうだね。じゃあ…体調悪そうだなとか、元気がないなぁとか、それくらいなら分からない?」
「…体調…は、どうなんでしょう…。あまり、顔を合わせることがなくて…」
「同じ部屋で寝起きしてるけど、顔を合わせることはない?」
「…はい…」
…成程。
余程、言いたくないと見える。
俺でも察しているくらいなのだから、シルナが気づかない訳がない。
「…そっか、分かったよ。ありがとうね、ニーナちゃん」
「…」
ニーナが本当のことを吐くまで、問い詰めても良い。
だがシルナの性格的に、絶対にそれはしないはず。
案の定。
「ごめんね、わざわざ来てもらって。また何か分かったら、教えてくれると嬉しいな」
「…はい…」
ニーナは、おずおずとソファから立ち上がった。
そして、相変わらずにこにことしているシルナの顔を見て。
思い詰めたような…切なそうな表情を見せた。
…吐き出して良いんだよ。こいつは、何でも、どんなことでも受け止めてやるんだから。
思わず、そう言いそうになった。
しかし。
「…あの、学院長先生」
「うん?」
ニーナは自分から、堰を切ったように話し出した。
聞かれて嬉しい話じゃないよな。
「…私も、よく知らないんです」
ニーナは、必死に俺達から目を逸らし、そう答えた。
「入学してから初めて会った仲ですし…。同じ部屋にはいますけど、まだそんなに親しい訳じゃ…」
「…」
…同い年とはいえ、お互い初対面同士、それに出身地もそれぞれ違う。
おまけに、13歳という、ただでさえ過敏で繊細な年頃の少女達。
そりゃお互い警戒し合うだろうし、出会ったその日から仲良し同士、なんて無理だろう。
よっぽど気が合う性格同士なら、初日から仲良く出来るかもしれないが。
中には、なかなか自分から話しかけるのは難しい、内気な生徒だっているはずだ。
ルームメイトだからって、必ずしも仲良くなれる訳じゃない。
おまけに、彼らはこの春、初めて親元を離れて、寮生活を始めたのだ。
新しい学校、新しい環境…身の回りにあるものが急激に変わり、それに適応するだけでも大変なはずだ。
まず自分が環境に適応することだけで精一杯で、他人の…ルームメイトのことなんて、気にかけてる余裕はない。
それは分かる。
こちとら、毎年新入生を迎えているのだ。
彼らが新しい学生生活に馴染んでいくには、短くない時間がかかることは知ってる。
だからこそ、長い目で見ていくつもりだったのだが…。
「そうだね。じゃあ…体調悪そうだなとか、元気がないなぁとか、それくらいなら分からない?」
「…体調…は、どうなんでしょう…。あまり、顔を合わせることがなくて…」
「同じ部屋で寝起きしてるけど、顔を合わせることはない?」
「…はい…」
…成程。
余程、言いたくないと見える。
俺でも察しているくらいなのだから、シルナが気づかない訳がない。
「…そっか、分かったよ。ありがとうね、ニーナちゃん」
「…」
ニーナが本当のことを吐くまで、問い詰めても良い。
だがシルナの性格的に、絶対にそれはしないはず。
案の定。
「ごめんね、わざわざ来てもらって。また何か分かったら、教えてくれると嬉しいな」
「…はい…」
ニーナは、おずおずとソファから立ち上がった。
そして、相変わらずにこにことしているシルナの顔を見て。
思い詰めたような…切なそうな表情を見せた。
…吐き出して良いんだよ。こいつは、何でも、どんなことでも受け止めてやるんだから。
思わず、そう言いそうになった。
しかし。
「…あの、学院長先生」
「うん?」
ニーナは自分から、堰を切ったように話し出した。


