「…厄介なことになったもんだな」
誰もが沈黙を守る中、ジュリスが口を開いた。
…厄介なこと…。
本当にな。
すると、ベリクリーデが首を傾げて。
「何で私が狙われたの?やっぱり、私の中にいる神様が欲しいから?」
「そうだね」
「ふーん…」
ふーんって、お前。
危うく命奪われかけてたんだぞ。
彼らが欲しいのは、ベリクリーデではない。
ベリクリーデの中にいる聖なる神と、それを鎮めている『聖宝具』なのだ。
「…一つ、質問させてもらっても?」
クュルナが、小さく挙手した。
「何?」
「『殺戮の堕天使』というのは、何なんですか?それに…そちらの方も、見覚えがない顔ですが…」
クュルナが言う、そちらの方、とは。
他でもない、天音のことだ。
天音はルーデュニアに来てからずっと、学院で匿っていたからな。
クュルナ達にとっては、初対面なのだ。
「…僕は天音と言います。天音・オルティス・グランディエ」
天音は、静かに自己紹介した。
更に。
「…『殺戮の堕天使』については、僕が説明します」
…。
「…無理をするなよ」
俺は、天音に言った。
言わずにはいられなかった。
だって、『殺戮の堕天使』について話すということは…天音にとっては、古傷を抉るようなものだ。
思い出したくもないことを、思い出さなければならない…。
それなのに。
「大丈夫です。僕があいつについて知ってることは、僕が話します」
天音は、毅然としていた。
…そうか。
そこまで覚悟を決めているなら、水を差す訳にはいかないな。
「…僕が、『殺戮の堕天使』に会ったのは…」
天音は、自分がイーニシュフェルト魔導学院に匿われることになった経緯を、ゆっくりと話し始めた。
誰もが沈黙を守る中、ジュリスが口を開いた。
…厄介なこと…。
本当にな。
すると、ベリクリーデが首を傾げて。
「何で私が狙われたの?やっぱり、私の中にいる神様が欲しいから?」
「そうだね」
「ふーん…」
ふーんって、お前。
危うく命奪われかけてたんだぞ。
彼らが欲しいのは、ベリクリーデではない。
ベリクリーデの中にいる聖なる神と、それを鎮めている『聖宝具』なのだ。
「…一つ、質問させてもらっても?」
クュルナが、小さく挙手した。
「何?」
「『殺戮の堕天使』というのは、何なんですか?それに…そちらの方も、見覚えがない顔ですが…」
クュルナが言う、そちらの方、とは。
他でもない、天音のことだ。
天音はルーデュニアに来てからずっと、学院で匿っていたからな。
クュルナ達にとっては、初対面なのだ。
「…僕は天音と言います。天音・オルティス・グランディエ」
天音は、静かに自己紹介した。
更に。
「…『殺戮の堕天使』については、僕が説明します」
…。
「…無理をするなよ」
俺は、天音に言った。
言わずにはいられなかった。
だって、『殺戮の堕天使』について話すということは…天音にとっては、古傷を抉るようなものだ。
思い出したくもないことを、思い出さなければならない…。
それなのに。
「大丈夫です。僕があいつについて知ってることは、僕が話します」
天音は、毅然としていた。
…そうか。
そこまで覚悟を決めているなら、水を差す訳にはいかないな。
「…僕が、『殺戮の堕天使』に会ったのは…」
天音は、自分がイーニシュフェルト魔導学院に匿われることになった経緯を、ゆっくりと話し始めた。


