神殺しのクロノスタシス2

イレースと天音を、それぞれ帰してから。

俺とシルナは、学院長室に戻った。

シルナは、珍しく真面目な顔をしていた。

…良くないな。

シルナは、だらだらとチョコレートでも摘まんでるくらいの方が良いのだ。

だって、それは世界が平和だって印だから。

「…さっき、イレースちゃんと天音君の前では、言わなかったけど」

シルナが、口を開いた。

「何?」

「ナジュ君がイーニシュフェルト魔導学院に潜入したのは、何でだと思う?」

…そうだな。

奴らの目的は、まだ確認してなかったな。

確認と言っても、正確には、推測に過ぎない。

本人達に聞いた訳じゃないんだから。

でも…恐らく。

「…聖なる神の復活?」

ベリクリーデを名指しで連れてこいと言うのだから、それ以外に理由はないだろう。

しかし、シルナは。

「…それだけだったら、まだ良いよ」

「…」

シルナが、何を憂慮しているのか。

俺にも分かる。

聖なる神が復活しようが、封印されたままでいようが、どっちでも良い。

そんなことはどうでも良い。

それよりも。

聖なる神が復活してしまえば、神は俺を殺そうとするだろう。

俺の中にいるという…邪神を。