空っぽの分身を、いくら観察しても意味がない。
得られる情報は限られている。
でも、先程も言ったように、分身でないシルナ・エインリー本体に会うのは、危険が過ぎる。
僕が『カタストロフィ』のスパイであることに気づかれたら、それはもう、厄介なことになるに違いない。
まぁいつかはバレるのだろうけど。
今は、そのときではない。
「…じゃ、羽久・グラスフィアは?」
同じく幹部の一人、クィンシーが尋ねてきた。
そう来たか。
そう来るよな。
羽久・グラスフィアとシルナ・エインリーは、セットみたいなものなんだから。
でも。
「あいつは駄目ですよ」
僕は、吐き捨てるようにそう言った。
「駄目?」
「空っぽだから。シルナ・エインリーの分身よりはマシですけど」
羽久・グラスフィア。
あの男は、羽久・グラスフィアであって、羽久・グラスフィアではない。
かといって、シルナ・エインリーのような分身でもない。
本人なのに、本人じゃないのだ。
あれじゃ、いくら観察しても、得られる情報は限られる。
「空っぽ…。では、噂は本当だったようだな」
と、ヴァルシーナ。
そのようですね。
「あの男…。シルナ・エインリーの腰巾着。あれは所詮、紛い物だと」
「えぇ」
実に残念だ。
彼が本物であったなら。
僕の願いは、すぐにでも叶えられたかもしれないのに。
「それを知れただけでも、充分な成果だ」
「はいはい。お褒めの言葉、ありがとうございます」
そのくらいの戦果があるのは当然、みたいな顔して褒められても、ちっとも嬉しくはない。
得られる情報は限られている。
でも、先程も言ったように、分身でないシルナ・エインリー本体に会うのは、危険が過ぎる。
僕が『カタストロフィ』のスパイであることに気づかれたら、それはもう、厄介なことになるに違いない。
まぁいつかはバレるのだろうけど。
今は、そのときではない。
「…じゃ、羽久・グラスフィアは?」
同じく幹部の一人、クィンシーが尋ねてきた。
そう来たか。
そう来るよな。
羽久・グラスフィアとシルナ・エインリーは、セットみたいなものなんだから。
でも。
「あいつは駄目ですよ」
僕は、吐き捨てるようにそう言った。
「駄目?」
「空っぽだから。シルナ・エインリーの分身よりはマシですけど」
羽久・グラスフィア。
あの男は、羽久・グラスフィアであって、羽久・グラスフィアではない。
かといって、シルナ・エインリーのような分身でもない。
本人なのに、本人じゃないのだ。
あれじゃ、いくら観察しても、得られる情報は限られる。
「空っぽ…。では、噂は本当だったようだな」
と、ヴァルシーナ。
そのようですね。
「あの男…。シルナ・エインリーの腰巾着。あれは所詮、紛い物だと」
「えぇ」
実に残念だ。
彼が本物であったなら。
僕の願いは、すぐにでも叶えられたかもしれないのに。
「それを知れただけでも、充分な成果だ」
「はいはい。お褒めの言葉、ありがとうございます」
そのくらいの戦果があるのは当然、みたいな顔して褒められても、ちっとも嬉しくはない。


