「…それで」
他の幹部、シルヴェスタが口を開いた。
「シルナ・エインリーは?あの男はどうなってる」
…それを知りたくて堪らないようだな。
だが。
「さぁ。どうなってるんでしょうね」
「…!お前…」
シルヴェスタは、怒りをあらわにして僕を睨んだ。
おぉ、怒ってる怒ってる。
「何だ、その無責任な態度は。何の為に、お前をイーニシュフェルト魔導学院に潜り込ませたと…」
「じゃあ僕じゃなくて、あなたが行けば良かったじゃないですか」
「…!」
「僕より成果をあげられる自信があるのなら、ですけど」
ほんのさっきまで、パーシヴァルと口喧嘩していたのと同じやり取り。
実に不毛だ。
「なんか勘違いしているようだから、言っておきますけど」
僕をイーニシュフェルトに潜り込ませれば、スパイとして活躍してくれると思ったのかもしれない。
そりゃ、そう思うのも無理ないが。
そんなに上手く行くなら、苦労はしないというものだ。
「学院の中で授業を行ってるシルナ・エインリーは、あくまで分身なので」
その辺りのこと、ちゃんと理解してもらわないと。
「分身なんかいくら観察したって、空っぽですよ。何の中身もない」
「…」
これには、パーシヴァルやシルヴェスタ、他の幹部達も黙り込んだ。
イーニシュフェルトに潜り込んだからって、全ての情報を掌握出来ると思ったら、大違い。
イーニシュフェルトに、あの学院にシルナ・エインリーはいる。それは確かだ。
だが。
僕達一般生徒が授業で会えるのは、シルナ・エインリーの分身に過ぎない。
分身をいくら観察したって、何も得られるものはない。
「シルナ・エインリー本人には、接触していないのか」
「今のところは」
「私が止めてるんだ」
スポンサー様、リーダーのヴァルシーナが言った。
「ナジュ・アンブローシアをシルナ・エインリーの本体に接触させたら、感付かれるかもしれない」
かもね。
彼の観察眼は本物だ。
分身では気づかれなくても、本体と接触すれば。
僕が何者なのか、あの男なら、きっと気づくだろう。
それを避ける為にも、ヴァルシーナに言われていた。
出来るだけ、本体に会うのは避けろ、と。
だから、その通りにしている。
今のところ僕は、シルナ・エインリーの本体にはほとんど会っていない。
会ったとしても、こちらもそれなりの「演技」をしているときだけ。
学院長室にいるときのシルナ・エインリーは、本体であることが多いらしい。
学院長室には、生徒も自由に出入り出来るそうだから。
シルナ・エインリーの本体に会おうと思えば、会えなくはない。
だが。
その代わりに、僕の正体にも気づかれてしまう。
それは駄目だ。
あくまで僕は、イーニシュフェルト魔導学院の一年生、特に目立つこともなく、何処にでもいる一生徒。
そうでなくては、潜入した意味がない。
まぁ、夜中にこっそり、学院の地下書庫にも出入りしたりしてるのだが。
あくまでも、シルナ・エインリー本人との接触は、極力避けるべきだ。
今はまだ、な。
他の幹部、シルヴェスタが口を開いた。
「シルナ・エインリーは?あの男はどうなってる」
…それを知りたくて堪らないようだな。
だが。
「さぁ。どうなってるんでしょうね」
「…!お前…」
シルヴェスタは、怒りをあらわにして僕を睨んだ。
おぉ、怒ってる怒ってる。
「何だ、その無責任な態度は。何の為に、お前をイーニシュフェルト魔導学院に潜り込ませたと…」
「じゃあ僕じゃなくて、あなたが行けば良かったじゃないですか」
「…!」
「僕より成果をあげられる自信があるのなら、ですけど」
ほんのさっきまで、パーシヴァルと口喧嘩していたのと同じやり取り。
実に不毛だ。
「なんか勘違いしているようだから、言っておきますけど」
僕をイーニシュフェルトに潜り込ませれば、スパイとして活躍してくれると思ったのかもしれない。
そりゃ、そう思うのも無理ないが。
そんなに上手く行くなら、苦労はしないというものだ。
「学院の中で授業を行ってるシルナ・エインリーは、あくまで分身なので」
その辺りのこと、ちゃんと理解してもらわないと。
「分身なんかいくら観察したって、空っぽですよ。何の中身もない」
「…」
これには、パーシヴァルやシルヴェスタ、他の幹部達も黙り込んだ。
イーニシュフェルトに潜り込んだからって、全ての情報を掌握出来ると思ったら、大違い。
イーニシュフェルトに、あの学院にシルナ・エインリーはいる。それは確かだ。
だが。
僕達一般生徒が授業で会えるのは、シルナ・エインリーの分身に過ぎない。
分身をいくら観察したって、何も得られるものはない。
「シルナ・エインリー本人には、接触していないのか」
「今のところは」
「私が止めてるんだ」
スポンサー様、リーダーのヴァルシーナが言った。
「ナジュ・アンブローシアをシルナ・エインリーの本体に接触させたら、感付かれるかもしれない」
かもね。
彼の観察眼は本物だ。
分身では気づかれなくても、本体と接触すれば。
僕が何者なのか、あの男なら、きっと気づくだろう。
それを避ける為にも、ヴァルシーナに言われていた。
出来るだけ、本体に会うのは避けろ、と。
だから、その通りにしている。
今のところ僕は、シルナ・エインリーの本体にはほとんど会っていない。
会ったとしても、こちらもそれなりの「演技」をしているときだけ。
学院長室にいるときのシルナ・エインリーは、本体であることが多いらしい。
学院長室には、生徒も自由に出入り出来るそうだから。
シルナ・エインリーの本体に会おうと思えば、会えなくはない。
だが。
その代わりに、僕の正体にも気づかれてしまう。
それは駄目だ。
あくまで僕は、イーニシュフェルト魔導学院の一年生、特に目立つこともなく、何処にでもいる一生徒。
そうでなくては、潜入した意味がない。
まぁ、夜中にこっそり、学院の地下書庫にも出入りしたりしてるのだが。
あくまでも、シルナ・エインリー本人との接触は、極力避けるべきだ。
今はまだ、な。


