神殺しのクロノスタシス2

僕は飛び起きて、外に出た。

そこには、恐ろしい光景が広がっていた。

「…な…何で…」

「…」

そこには、全く見知らぬ男が立っていました。

その周りには、血溜まりが出来ていました。

村人が三人ほど、首をはねられて倒れていました。

水の入っていたであろう瓶や、食べ物の乗った皿が散乱していました。

恐らく村人は、見知らぬその男を、僕と同じように、村を訪ねてきた客人だと思ったのでしょう。

客人は、温かくもてなすのがこの村の礼儀。

水や食べ物を持って近づいた村人を、彼は無惨にも、斬り捨てたのです。

情け容赦なく。

そして。

「…」

彼は、後ろに隠し持っていた「それ」を、愕然とする僕達に見せつけました。

「それ」が何なのか、理解するのに数秒間を要しました。

人間の首です。

首から上。

先程僕が、三日間かけて命を救い。

何とか元気を取り戻して、生きて村に返したはずの。

あの少年の首を、彼はモノのようにぶら下げて、僕達に見せたのです。

「…!!」

…どうして、こんなことを。

それだけではありませんでした。

何をしに、何でこんなことを、なんて…聞く余裕はありませんでした。

彼は杖を掲げ、何やら呟きました。

その瞬間、強く、鋭い風が吹き。

かまいたちのように、近くにいた村人の首が宙を舞いました。

悲鳴をあげることも、命乞いをする暇もありませんでした。

女達は叫び、子供を抱き抱え、逃げようとしました。

しかし彼はそれを許さず、同じように母子の首をはね飛ばしました。

「…出てきませんね」

返り血にまみれながら、彼は初めて、そう呟きました。

…出て、こない?

「ここに、大変優秀な魔導師がいると聞いたんですけど…」

…優秀な、魔導師?

それって、もしかして…。

「…とんだ期待外れだったようです。なら、もう意味はないですね」

彼は、再び杖を掲げました。

僕もまた同じく、杖を掲げました。