名前も知らない魔導師が、目を覚ましたのは。
授業が無事に終わり、生徒達が皆学生寮に帰った頃だった。
授業が終わるなり、イレースが医務室にやって来た。
イレースはあくまで、聖魔騎士団に通報するべきだと言い張ったが。
勿論、それを聞くシルナではない。
仕方なくイレースも諦め、いつ彼が目を覚ましても良いように、医務室に待機していた。
そして。
「…う…」
苦しそうに目を閉じていた彼が、僅かに身悶えした。
「大丈夫?」
「…」
薄く目を開け、ゆっくりと首を動かして、こちらを見た。
…どうやら、意識を取り戻したようだが。
「お前、何者だ?」
「何の為に、学院に忍び込んだんです」
俺とイレースは、ほぼ同時に畳み掛けた。
「ちょっと、二人共…。まだ目を覚ましたばかりなのに」
「何悠長なこと言ってんだ」
こいつは、シルナに会いに来たんだろう?
何をしたくて、シルナに会いたかったのか知らないが。
もしこいつが、シルナの首を狙っているのだとしたら。
俺は、敵に塩を送るつもりはないぞ。
弱ってる今のうちに、即刻息の根を止める。
イレースも、そのつもりだろう。
卑怯者と言いたければ、好きに言え。
それなのに、シルナは。
「はいはい、落ち着いて。まず名前を聞こうよ。君は誰?何て名前なの?」
お前、こいつが自分の命を狙って来た刺客かもしれないってこと、分かってるか?
それとも、今のこいつがいくら暴れても、絶対勝てると確信してるからこその余裕か?
いや、シルナのことだ。
自分の命を狙いに来たのだとしても、まずは平和的に話し合おうとするに決まってる。
すると。
「…天音(あまね)…」
ぽつりと、刺客(?)が呟いた。
…天音?
「天音?それが君の名前?」
「…はい」
…どうやら。
起き抜けに襲い掛かってくる、ということはなさそうだ。
授業が無事に終わり、生徒達が皆学生寮に帰った頃だった。
授業が終わるなり、イレースが医務室にやって来た。
イレースはあくまで、聖魔騎士団に通報するべきだと言い張ったが。
勿論、それを聞くシルナではない。
仕方なくイレースも諦め、いつ彼が目を覚ましても良いように、医務室に待機していた。
そして。
「…う…」
苦しそうに目を閉じていた彼が、僅かに身悶えした。
「大丈夫?」
「…」
薄く目を開け、ゆっくりと首を動かして、こちらを見た。
…どうやら、意識を取り戻したようだが。
「お前、何者だ?」
「何の為に、学院に忍び込んだんです」
俺とイレースは、ほぼ同時に畳み掛けた。
「ちょっと、二人共…。まだ目を覚ましたばかりなのに」
「何悠長なこと言ってんだ」
こいつは、シルナに会いに来たんだろう?
何をしたくて、シルナに会いたかったのか知らないが。
もしこいつが、シルナの首を狙っているのだとしたら。
俺は、敵に塩を送るつもりはないぞ。
弱ってる今のうちに、即刻息の根を止める。
イレースも、そのつもりだろう。
卑怯者と言いたければ、好きに言え。
それなのに、シルナは。
「はいはい、落ち着いて。まず名前を聞こうよ。君は誰?何て名前なの?」
お前、こいつが自分の命を狙って来た刺客かもしれないってこと、分かってるか?
それとも、今のこいつがいくら暴れても、絶対勝てると確信してるからこその余裕か?
いや、シルナのことだ。
自分の命を狙いに来たのだとしても、まずは平和的に話し合おうとするに決まってる。
すると。
「…天音(あまね)…」
ぽつりと、刺客(?)が呟いた。
…天音?
「天音?それが君の名前?」
「…はい」
…どうやら。
起き抜けに襲い掛かってくる、ということはなさそうだ。


