さて、そんな世間話(?)をしばらくしてから。

「長くお邪魔してしまいましたね。そろそろお暇します」

「あぁ…。もうそんな時間か」

シルナもあんなだし、学校自体は春休みで授業もなくて暇だし。

もう少しゆっくりしていってくれても良かったんだが。

まぁ、聖魔騎士団には春休みなんてないもんな。

シュニィは忙しいんだし、あまり引き留めるのも悪いか。

「じゃあ、仕事の方はまた四月になって落ち着いてから…」

と、言いながら立ち上がりかけたシュニィ。

しかし次の瞬間、シュニィはくらり、と倒れかけ、テーブルに手を着いた。

「!?シュニィ?」

「大丈夫ですか?」

イレースが、慌ててシュニィを支えた。

「す、済みません…。ちょっと立ちくらみが…」

「おいおい…。大丈夫か」

いきなり立ち上がったからか?それにしては…。

「体調が悪かったんですか?引き留めて申し訳ありません」

と、イレース。

全くだ。体調が悪かったなら、無理に引き留めなければ良かった。

「いえ、大丈夫です。もう治りましたから…」

シュニィは笑顔でそう言って、しゃんと立ち上がった。

大丈夫なら良いんだけど。

アトラスもアイナも元気なのに、シュニィに元気がないんじゃ意味ないぞ。

「本当に大丈夫ですか?気分が優れないようなら、ご自宅まで送りますが…」

「いいえ、本当に大丈夫ですから。ご心配なく。長居して済みませんでした」

シュニィは笑ってそう言い、しゃんとした足取りで学院長室を出た。

「それでは、また来ますね」

「…あぁ…」

…大丈夫だろうか。シュニィ。

シュニィは(旦那と違って)馬鹿じゃないから、自分の体調が悪いときは、ちゃんとそう自覚して、それなりの対策を取るはずだ。

そう思えば、少しは安心だが…。