偽りの世界


「ただいま」

返事はない。

私はまた

近づいた。

あの世界への

入り口に。

―――ドンっ

何かが落ちた音


母が包丁を落としたみたい

それが何を意味するのか

分からない

だけど確かなのは



―――手に力がこもっていたこと


ただ

それだけ