恋愛なんてしない


「もちろん奢らせていただきます。」

本当に申し訳なさそうに頼んでくる同期を見て笑ってしまう。

「うそうそ。今忙しい時期でしょ?お互い様だから大丈夫。」

「まじありがとう。本当に今度なんか奢る。」

「いいって。そこに置いておいて。やっとく。」


同期は少しほっとしたような顔をして去って行った。

んー。でも期限明後日か。

よし。と気合を入れて、今日のうちにある程度を終わらせようと意気込む。


ある程度の作業が終わると、私のフロアにはもう誰も居なくなっていた。

香奈も少し前に帰っていたっけ。


とりあえずもう少しで終わるので、まだやるか明日に持ち越すかを考えながら休憩スペースでコーヒーでも買おうとデスクを立つ。


コーヒーを買い、プルタブを開けて一口飲む。

ほろ苦い味が口の中に広がっていく。


ふぅと息を吐くと。

「あれ、まだ残ってたの?」