「いっそクビにでもしてくれたら、元婚約者と会う事もなくていいかもしれないです。」
「引きずってんなあ。そんないい奴だったのかよ。」
「ん~、いい人だったかは分からないです。でもすぐに切り替えられるくらい短い時間一緒に居たわけではないので。」
「へぇ。そうなんだ。」
「でも、あの件の後連絡もないですし。薄情というかなんというか。」
私の愚痴のような話も嫌な顔をせずに相槌を打ってくれる先輩。
「でも別れられて正解だろ。そんな人結婚しても上手くいく気がしないけど。」
「私もそう思います。」
そうなんだよ。だけど情が残っているのか。未練があるのか。少し引っかかってしまっている自分がいた。
それでも追いかけてきてくれるのかもと淡い期待をしている自分がいた。
あぁ、お酒も飲んだし色々考えていたら眠たいな...。
「あ、おい!」
そう思ったのもつかの間。私は重たい瞼をゆっくりと閉じていた。
―――――――――――

