SIDE:碧衣
目を覚ますと黒いベットの上にいた
周りを見回しても全てが黒の部屋
腕を見ると点滴が刺さっていた
そうか、ここはあの人の部屋だ
なんで自分がここにいるのかを考える
仕事を終えて、家に帰ってきたところまでは覚えているが、そのあとが思い出せない
服をめくると身体には包帯が巻かれていた
あの人に背中を見られたんではないかと不安がよぎる
私の身体には古傷がかなり残っている
もし、すべてを見られていたら言い訳もできないなと思いながらサイドテーブルに目を向けるとそこには小さな紙が置いてあった
【身体のことは若達には言っていないから安心しろ。また診に来る。】
男の人の字で書かれたメモをみてとりあえず安心した私は、点滴を外し立ち上がる
熱のせいか少しふらつきながらカーテンを開けると大きな満月の光が私を照らす
カーテンを閉め、部屋を出るとリビングのソファーにはあの人が寝ていた
起こさないようにリビングを出て自室に入り
ノートパソコンを開きメールをチェックしていく
メールのほとんどが情報屋Odinへの依頼メール
最後に受信していた小鳥遊からのメールにはご主人様には報告済みということと、次の仕事は1週間後だときていた
私は返信をせずにメールを削除し、パソコンを閉じる
部屋の一番奥の角に体育座りをする
寝るときはいつもこの体勢
まぁ寝るといっても私は慢性的な不眠症だから少しの音で起きてしまう
今日みたいに気絶することはよくあるが、熟睡できることはない
ただ、今日だけは熱のせいで自然と瞼が下がっていった
