「面白いこと?」
「彼女さ、橘の愛人の子供ってことになってるけど、戸籍がないんだよ。」
「どういことだ?」
「普通さ、子供が生まれると出生届が出されて、戸籍ができるんだけど彼女の場合、出生届がないんだよね。まあこの時代はすべてデータ管理だからすでにデータが消されてる可能性もあるんだけどね。でも、橘の愛人も調べると色々出てくるんだけど、母親にあたるような人物がいない。それと、彼女7歳から5年間アメリカに行ってたみたい。」
「アメリカ・・・」
「しかも、Luciferの噂が出始めたのも同じくらいのときなんだよ。面白いよねー」
「女はアメリカで何してんだ?」
「それも含めてアメリカに行くんだよ。ただ、彼女には気をつけたほうがいいよ。この僕でもここまで調べるのにこんなに手こずったのは久しぶりなんだ、彼女の裏にはもっとやばい奴らがいる。」
「あぁ」
「それじゃあね。」
そういうと慧は部屋を出て行った
煙草に火をつけゆっくりと肺に紫煙を取り込み吐き出しながら頭の中で考える
普段の慧ならこのくらいの報告は直接ではなく電話かメールだがわざわざ対面で俺に忠告してくるということは事態はかなり複雑で巧妙に隠されているんだろう
「翔貴・・・」
「なんだ?」
「俺は、橘組のことを調べる。いいか?」
綾人の問いかけに好きにしろといい、あの女の眠る寝室に目を向けた
