仕事を終えた私は、1ヶ月ぶりの我が家に足を踏み入れた

この家を出て1ヶ月程度では何も変わっていなかった

私はその足でご主人様のもとに向かう

「失礼致します。」

襖を開けるとそこには私の継父であり、ご主人様である(タチバナ) 龍之介(リュウノスケ)とその息子の力也(リキヤ)の姿があった

「ただいま帰りました。」

「仕事の方は?」

「仰せのままに処理致しました。」

「そうか、例の件は進んでいるのか?」

「はい。すべて順調に進んでおります。」

「そうか、その割には報告がないな。」

「申し訳ございません。今は、特に報告できることがありません。今は私の方でも情報を収集中ですのでなにかわかれば報告致します。」

「ほう、1ヶ月もいてお前の主であるこの俺になにも報告ができることがないなんてな生意気になったもんだなお前も。力也もそう思わないか?」

「父様の言う通りですね。俺達に養ってもらっている分際で、この態度とは・・・」

「大変申し訳ございません。早く、ご主人様にご満足頂ける情報を報告いたしますので、今回はどうかご容赦ください。」

私は2人に頭を下げ、許しを請う

だが、私の前にいる2人はそれを面白そうに眺めている

「そうだな、今回は大目に見てやってもいいが・・・それじゃあつまらないだろう。久しぶりに帰ってきたんだ、お前にはもう一度わからせてやらんとな。お前の主が誰なのかを・・・」

私は、継父の紡ぐ言葉に息を呑む

「俺の言ってることがわかるな?碧衣。」

この一言で、私の地獄行きが決定する

「御意」

「わかったならもうお前に用はない。いつもの部屋に先に行って待っておけ。」

「失礼いたしました。」