Side：Zeus

隣の部屋からカタカタとキーボードを叩く音が響く

その音があいつが集中している証拠

久しぶりの会ったあいつは前よりも少し痩せていて背負っている闇が更に深くなっているように感じた

あいつと俺の出会いはもう5年くらい前だろうか・・・・

仕事で失態をおかし、とある組織から命を狙われていた俺の前に現れたのは

全身に黒を纏い、白い肌、白い髪に左右で違う瞳の色

ここ最近、裏社会でも噂になっている殺し屋

その殺し屋は俺のこと見て少し微笑むと選択肢を言ってきた

「あなたのこと気に入った。このまま私に殺されるのと、私の協力者になるかどっちがいい？」

俺の答えは後者

「よろしくね。Zeus。」

協力者になったのはいいが何に協力したら良いんだ？と考えていると薄ら笑みを浮かべた殺し屋

「まず、自己紹介しなきゃね。私の名前は橘　碧衣。」

「タチバナ？・・・タチバナ・・・ってあの橘か！」

「ふふっ・・・多分、Zeusが思ってる橘で合ってるよ。」

橘　碧衣と名乗る女・・・いや少女は面白うそうに話を続ける

「Zeusには協力者になってほしいって言ったけど、本当は私にハッキングを教えてほしいと思ったの。」

「なぜ？」

「まぁ色々と事情があって・・・とにかく私をあなたの次に腕の良いハッカーにしてほしいの。」

「俺はハッカーじゃない。情報屋だ。」

「でもハッキングは得意でしょ？」

情報屋のスキルはハッキングはもちろん、人を騙すことだったり、相手との交渉術だったりその他にもいろいろあるが俺が一番得意とするのは碧衣の言う通りハッキングだ

「ハッキングを教えることは問題ないが俺の次に腕がよくなるかはお前の頑張り次第だ。だが、お前は本当に俺を殺さなくていいのか？お前は誰かの依頼でやってるんだろ？」

「大丈夫、簡単な情報操作ならできるから、あなたは私に殺されたことにできる。ただ、しばらくは身を潜めてもらう必要があるけど。」

碧衣の目はまっすぐと俺を見つめてくる

彼女の目には闇が広がっていた

直感的に俺はこの子を助けてやりたいと思ったのだった

それから、俺は彼女に俺の持つスキルのすべてを教えた