すると、匡はスマホで音楽をかけ始めた。
当然、かけた曲は清水◯太の"花束のかわり◯メロディーを"だ。
わたしが「何でその曲?」と訊くと、匡は「子守唄の代わり。俺には、思い入れのある曲だからな。」と言う。
そして、「パパはこの曲でママに振り向いてもらえるように頑張ったんだよ〜。」と、赤ちゃんを寝かしつけながら言っていた。
わたしは「かなり分かりづらかったけどね。」と突っ込む。
「そういえば、この子の名前。決めたの?」
「うん、決めたよ。」
わたしは赤ちゃんを寝かしつける匡に寄り添うと、「"幸せ"に"花"って書いて、幸花(さちか)。」と言った。
「幸花、、、良い名前だな。君の名前は幸花だって。さっちゃ〜ん。」
この子には、幸せになってほしい。
分かりづらいアピールをしてくるパパのような優しく思いやりのある人を見つけて、幸せになってほしいという意味を込めて、この漢字を選んだのだ。
幸花の"花"は、"花束のかわり◯メロディーを"から取っているのは、匡には秘密。
匡は、幸花を寝かしつけると、そっとベビーベッドに寝かせた。
「寝かしつけ、オーケー!」
指で丸を作りながら小声で匡は言った。
それから、わたしに近付いてくるとグッと抱き寄せ、頭にキスをする。
わたしが「え?頭だけ?」と言うと、匡は静かに笑い、わたしの頬に手を添えながら唇を重ねてきた。
この時がわたしたちの初めてのキスだった。
匡は一度唇を離したが、再び口づけをして、さっきよりも深く口づけを交わした。
今までの想いをぶつけるように長く止まらない口づけ。
そんなわたしたちを見守っていたのは、キッチンカウンターに飾られたツガイのフクロウの置き物だったのだった。
―END―



