愛しい君へ


「匡、抱っこしてあげて?」

わたしがそう言うと、匡は「いいの?」と言った。

わたしが頷くと、匡は恐る恐るわたしの腕から赤ちゃんを抱き上げた。

「うわぁ、軽っ!」

まだ抱き慣れないぎこちない抱っこで匡は赤ちゃんを愛おしそうに見つめる。

「可愛い〜、、、ひよりに似てるなぁ!こりゃ、美人さん確定だ。」

そう言いながら、匡は赤ちゃんを見つめ、顔を綻ばせながら「よく無事に生まれてきてくれました。」と赤ちゃんに話し掛けていた。

そんな匡の姿を見て、わたしまで表情が綻ぶ。

匡がこの子のパパだったら良いのに。
そう思った。

その日は、赤ちゃんは新生児室に預かってもらい、次の日から母子同室となるようだ。

病室に戻って来たわたしと匡は、何だか不思議気持ちのままでフワフワした感じだった。

「ひより、お疲れ様。神秘的な瞬間に立ち会わせてくれて、ありがとう。」

匡はそう言うと、ベッドに腰を下ろし、わたしの手に自分の手を重ねた。

「こちらこそ、ずっと側にいてくれてありがとう。」

わたしは自分の手に重なった匡の手を握り締めた。
ずっとこの手がわたしを支えてくれていたんだ。